2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18300160
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
塙 隆夫 Tokyo Medical and Dental University, 生体材料工学研究所, 教授 (90142736)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土居 壽 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (30251549)
堤 祐介 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (60447498)
横山 敦郎 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (20210627)
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Keywords | チタン合金 / 骨折固定材 / ジルコニウム / リン酸カルシウム / 表面分析 / カソード分極 / 不動態皮膜 |
Research Abstract |
Tiは体液中でリン酸カルシウムを、Zrはリン酸ジルコニウムをそれぞれ表面に生成することが知られているが、これらの機構については解明されていない。そこで本年度は、TiとZrを、成分調整したHanks溶液中で浸漬および動電位カソード分極を行うことで、リン酸塩生成の機構を検討した。 純Ti(JIS2種)および純Zr(99.6%)を鏡面研磨し、洗浄したものを試料とした。Hanks溶液に加えて、成分からリン酸イオンを除いたHanks溶液(P-free)またはCaイオンを除いたHanks溶液(Ca-free)を調製し、それらの溶液に試料を浸漬した。浸漬後、洗浄した試料をX線光電子分光(XPS)で解析した。カソード分極は上述の溶液中で行った。 XPS解析より、Ca-free中でTi、Zrともにリン酸塩を表面に生成していた。一方P-freeに浸漬したTiからCaが検出されたが、Zrからは検出されなかった。また、Ca-freeへの浸漬でTi表面に取り込まれたリン酸イオンは、その後P-freeに浸漬することでCaイオンと完全に置換した。以上のことからTi表面はリン酸イオンのみでは不安定であり、リン酸Caを生成することで皮膜を安定化させるが、Zr表面はリン酸塩皮膜で安定化しCaを取り込まないことが示唆された。また、カソード分極の結果より、Zr表面に生成する酸化皮膜はTiのものより緻密で高い保護性を有することがわかった。また、Ca-free溶液中でZr表面に生成するリン酸塩皮膜はTiのものより緻密で高い保護性を有していた。このことから、ZrはHanks溶液中で表面に緻密なリン酸ジルコニウム皮膜を生成し、皮膜中にCaを取り込まないためにリン酸Caを生成しないことが明らかになった。
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