2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18300300
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 淡 Kyoto University, 人文科学研究所, 教授 (90000306)
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Keywords | 農書 / 農具 / 農業史 / 技術史 / 中国 |
Research Abstract |
本研究は、元・王禎『農書』「農器図譜」の現在望みうる最良の訳注をつくることを目的とする。とくに、従来の研究に致命的に欠けていた項目ごとに付された詩文の解釈、農具に対する機械工学的検討といった点を補うため、農業史、科学技術史の研究者のほか、中国文学、農業機械工学の専門家を連携研究者に加え、訳注の検討をすすめてきた。昨年度に引き続き、以下の訳注検討会、訳注原稿の電子テキスト化、資料収集、実地調査などの研究活動を本年度もおこなった。 1 検討会:各種版本を用いて校勘の確認作業、校注の作成、訳注の選定・追加作業、さらに過去の研究会において課題として残した問題点や、新たに浮上した問題点などについての検討会。 2 訳注の電子テキスト化:訳文および校注、訳注の電子テキスト化。本年度の作業は、検討会での議論の結果、訂正、追加された箇所を電子テキストに反映させる作業を主におこなった。 3 資料収集:京都大学各図書館を中心として、農具および農業史の関連資料・漢籍史料の収集。 4 実地調査:日本国内各所のほか、中国農業博物館(北京市)等にて中国農業史、農具史に関する資料調査をおこなった。 また、本年度は研究期間の最終年度にあたることから、海外の専門家を招いて中国技術史に関する研究発表会を開催し、さらに本研究の成果報告書として農器図譜集訳注稿の冊子を作成した。この訳注稿には、農器図譜集之一田制門、二耒耜門、十四利用門、十五〓麥門、十六蠶繰門、十七蠶桑門、十八織維門、十九〓絮門、二十麻苧門および雑録の各門を収録し、現段階までの議論を反映したものとなっている。今回は収録しなかった第三~十三集も含め、さらに訳文、訳注への検討を加えたのち、近い将来に農器図譜集訳注の完全版を出版する予定である。
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Research Products
(5 results)