2006 Fiscal Year Annual Research Report
昭和戦前期の官展工芸における『伝統』的作品の調査研究
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18320030
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
樋田 豊次郎 京都工芸繊維大学, 美術工芸資料館, 助教授 (40132708)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 龍一 独立行政法人国立美術館京都国立近代美術館, 学務課, 主任研究官 (40270491)
横溝 廣子 東京芸術大学, 大学美術館, 助教授 (90205229)
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Keywords | 伝統 / 官設美術展 / 楽浪遺跡 / 六角紫水 / 山鹿清華 / 海野清 / 津田信夫 / 富本憲吉 |
Research Abstract |
平成18年度は、「昭和戦前期の官展工芸作品における<伝統>概念の構築」を研究する目的で、(1)「楽浪遺跡出土の漆器」、(2)「海野家の下図資料」、(3)「富本憲吉の陶芸作品」、(4)「津田信夫の鋳金作品」を調査した。 (1)は樋田豊次郎が担当し、東京大学考古学研究室、東京国立博物館、東京芸術大学大学美術館、韓国国立中央博物館が所蔵する楽浪漆器を調査した。調査点数は、破片も含めて約40点である。また、広島県立博物館が所蔵する楽浪漆器に倣った六角紫水の漆芸作品、約15点も調査した。これにより、楽浪漆器と六角紫水の漆工芸との関係が明らかになった。 (2)は横溝広子が担当し、東京芸術大学大学美術館が所蔵する「海野家の下図資料」の内、約300枚を調査し、写真撮影をおこなった。「海野家の下図資料」とは、近代日本の金工界を代表する海野勝民、海野美盛、海野清ら海野一族の作品下図を一括した資料である。 (3)は松原龍一が担当し、富本憲吉の陶芸作品を網羅的に調査した。調査点数は約150点である。その成果は、2006年夏に京都国立近代美術館で開催された(現在も全国巡回中)「富本憲吉展」で公開された。富本憲吉はイギリス留学によってアーツ&クラフツ思想に感化されるが、帰国後は日本の「伝統」に目覚め、九谷焼(石川県)の装飾文様を今日に再生させたことで知られる。 (4)は研究協力者の前川公秀が担当し、千葉県立美術館、東京国立博物館、東京芸術大学大学美術館、韓国国立中央博物館、そして、シアトル他の個人が所蔵する津田信夫の鋳金作品を調査した。調査点数は約130点である。また、津田にかんする文献資料も調査し、そのリストを作成した。
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Research Products
(7 results)