2006 Fiscal Year Annual Research Report
ローマの政治・思想・修辞学が古典古代の文学に及ぼした影響
Project/Area Number |
18320047
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
逸身 喜一郎 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 教授 (40107420)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 英男 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 教授 (70114436)
天野 正幸 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 教授 (40107173)
櫻井 万里子 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 名誉教授 (90011329)
橋場 弦 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 助教授 (10212135)
小池 和子 (根本 和子) 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 助手 (50313185)
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Keywords | 西洋古典 / ラテン文学 / ローマ史 / ヘレニズム思想 / 修辞学 |
Research Abstract |
初年度は主として次の2点に関して研究を実施した。(1)ローマの思想ないし「科学技術」と文芸との関連を精査するために、いわゆる「教訓詩」と呼ばれている一群の作品の読解ないし文学史的位置づけを行った。「教訓詩」という術語は古代世界には存在せず、「教訓詩」という日本語訳も不正確である(実際には「学問詩」とでも訳すべきであろう)。もとよりギリシャの作品に影響されているが、ジャンルとしての成立は通説とは異なり、ギリシャ以来の伝統というよりもむしろローマで、個々の技術の叙述ならびに天文・気象・地震といった宇宙の成り立ちを考察することで発展したジャンルである、とみなしたほうがよい。これについては逸身喜一郎が「日本西洋古典学会大会」にて平成19年6月に発表する予定である。(2)ローマの政治、とりわけ共和制から帝政への以降を、Ronald Syme : The Roman Revolutionを丹念に読むことで追跡する。同書はローマ史の必読文献であるにもかかわらず、癖のある文体のせいもあって我が国では必ずしもよく読まれているとはいえない。逸身が主導し「研究分担者」を中心に読書会を構成して、緻密な訳読を試みている。1年間に都合12回の会合を実施したが、読了にはまだまだ時間がかかりそうである。さらに(3)本研究に先行する研究である「古典古代史の近年の動向に対応したギリシャ・ローマ思想史ならびに文学史の書きかえ」(科学研究費平成14年〜17年)の総括として、研究報告書掲載の諸論文を相互批判することで新たな展望を見いだすためのシンポジウムを7月14日に実施した。
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