2006 Fiscal Year Annual Research Report
非文字知社会と中世の時間・暦・交通通信・流通に関する研究
Project/Area Number |
18320109
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
服部 英雄 九州大学, 大学院比較社会文化研究院, 教授 (60107521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 聡 東京大学, 史料編纂所, 助手 (20302656)
細井 浩志 活水女子大学, 文学部, 教授 (30263990)
橋本 雄 独立行政法人九州国立博物館, 研究員 (50416559)
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Keywords | 海図 / 潮流 / 時間 / 点 / 銭貨 / 流通 / 為替 / 地名地図 |
Research Abstract |
非文字知社会を考えるに際し、まず航海術の具体を考えた。最初に国会図書館にあるレトロ海図の複写を収集した。9/2に九州大学・六本松地区にて研究集会。趣旨説明・収集レトロ海図の検討結果についての報告をし、文禄慶長役の倭城が立地した朝鮮半島南岸の海がきわめて浅いこと、とりわけ順天城や馬山城周囲が浅く、大型艦船の停泊方法の具体を考えた。つづいて東大史料編纂所にて収集した船に関する用語と用例の検討を行った。竹田和夫氏より「力者」について、服部が「中世国家の貨幣発行権」について報告を行った。翌9/3能古島漁協関係者から瀬・ます網について聞き取り調査。 2/17に九州大学・六本松地区にて第2回研究集会。服部が問題提起(「歴史読解における潮流知識・平家物語ほかを素材に」)ののち、九大応用力学研究所・柳哲雄教授より報告「列島周辺の海流・潮流と歴史学」があって、日本近海の潮流(主流・反流)、季節風などをふまえつつ、遣明船の航路を具体的に検討した。つづいて服部が問題提起(「最近の中世銭貨をめぐる研究動向」)を行い、下関市立大学・桜木晋一教授より「中世銭貨の諸問題」について報告があり、コメント・討論を行った。翌2/18に服部が「データベースによる「刻・点」の時間記述例」について報告し、宮廷内では漏刻を使用しての陰陽寮による厳密な時間管理があったこと、地方でも寺院が同様に、点までの時間管理に当たったことを報告、井上聡氏より「中世の流通社会」についての報告があって、遠隔地であっても為替による送金が可能であった武士団におけるシステムの具体が示された。この間流通に関した記述の多い、金沢文庫文書の紙背文書の整理作業を史料編纂所で行うとともに、これまで集積した非文字知資料である地名のデータベース化・地図化作業を行っている。
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Research Products
(6 results)