2009 Fiscal Year Annual Research Report
非文字知社会と中世の時間・暦・交通通信・流通に関する研究
Project/Area Number |
18320109
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
服部 英雄 Kyushu University, 大学院・比較社会文化研究部, 教授 (60107521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 聡 東京大学, 史料編纂所, 助教 (20302656)
細井 浩志 活水女子大学, 文学部, 教授 (30263990)
橋本 雄 北海道大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (50416559)
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Keywords | 民衆知・暗黙知 / 海中地名 / 櫓 / 紀行文 / 地名地図電子化 / 宇宙構造 / 渾天説 / 須弥山説(蓋天説) |
Research Abstract |
非文字知(民衆知・暗黙知)のひとつに、地形や潮流を知悉したうえでの航海術や漁撈法がある。平戸における海の民衆知を別記論文にて公表した。海の瀬・かじかけ(暗礁)の所在と日々変わる潮流の知識が漁師ら海民の知恵だが、それは中世の海賊・水軍の知恵でもある。民衆知でもあるが、軍事機密でもある。中世の文献史料(アルメイダ、源通親、大和田重清、山科言継らの紀行文)によって、中世の航海術を検討した。潮流のみでは目的地に時間内に到着できない。逆流にさしかかる時間帯もアゲンストで航海を続けている。人力、風力に依拠した。櫓の数によるが交代要員も四名以上いた。複数の櫓があるから、必ず声を出して前後の櫓を交互に操作した。佐賀県地名地図電子化を推進できたが、とくに海の地名、海中地名の収集を重視した。作成した地名地図と文献史料とを対比させる作業が可能になった(地図は別途公刊予定)。伊能忠敬はこの海岸部の測量日誌を残しているが、かれが書き残した地名は、現在使われていない。旧字表記によっている。しかし伝承地名として残されており、収集でき電子地図化もした。伊能忠敬は豊臣秀吉の文禄慶長の役における諸大名の陣跡について記述もしているのだが、忠敬の認識と現在定着している陣跡比定とは異なるものが多い。福島正則陣は従来陣と認識されていない山だったようで、この山には陣地名があった。 時間に関しては「中世日本の宇宙構造論に関する覚書」(別途公刊予定)を得た。古代の宇宙認識、キリシタン史料に見る宇宙認識からその構造を明らかにする。
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Research Products
(11 results)