2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18330179
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉本 均 京都大学, 大学院教育学研究科, 教授 (50211983)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 豊 広島大学, 大学院教育学研究科, 教授 (00116550)
窪田 眞二 筑波大学, 人間総合科学研究科, 教授 (80170033)
坂野 慎二 玉川大学, 通信教育学部, 助教授 (30235163)
永田 佳之 国立教育政策研究所, 国際研究・協力部, 総括研究官 (20280513)
藤井 穂高 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (50238531)
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Keywords | 義務教育 / 弾力化 / 機能変容 / 学校選択 / 学級編成 / カリキュラム / 中高一貫 / 学校財政 |
Research Abstract |
初年度の研究として、世界各国の義務教育の改革動向、義務教育の理念的議論、規制緩和や市場化の影響、オルタナティブな教育の展開についての基本的文献資料の分析を行った。そのなかで国際的な市場原理やグローバリズムの影響に対して、各国の義務教育の伝統的機能を防衛しようとする力学が、公共システムの形態的多様化と機能的収斂を生んでいるという傾向が確認された。また先進国を中心とした義務教育メインストリームの弾力化とオルタナティブ教育の接近の動向、開発途上国における公教育整備のための義務教育の弾力的運用の動向という、区別して論ずるべき2つの大きな動向が確認された。 初年度における海外調査としては、ドイツ(坂野慎二)、ロシア(永田佳之)、インドネシア(中矢礼美)、オーストラリア(杉本均、小原優貴)、オランダ(松浦真理)、デンマーク(永田佳之、杉本均他)、ラオス(乾美紀)の調査が行われた。義務教育に関する各国の改革動向について共通の枠組みとして、それぞれの国・地域における(a)義務制の解釈、(b)各国の義務教育制度の歴史、(c)弾力化ないし弾力的運用が求められる背景について、(d)相互影響関係、そして(e)日本の改革への示唆などの項目が設定された。 平成18年9月に全体打ち合わせ会議を京都大学サテライトキャンパスにおいて行い、各国の義務教育の弾力化の動向において、(1)グローバル化への対応と多文化化の進展、(2)福祉国家の教育政策の行き詰まり、(3)『近代の学校教育』を批判する思想の展開という側面が報告された。今後の課題として、(1)私立学校への助成をどう位置づけるのか、(2)各国の義務教育制度への対応をすべて「弾力化」と考えてよいのか、などの問題点が指摘された。 平成19年6月における日本比較教育学会筑波大学大会において、本科研メンバーを中心に課題研究を企画し、世界のオルタナティブ教育の動向と題して、永田佳之氏を司会・企画として、韓国、ニュージーランド、台湾などの動向を比較検討するパネル・ディスカッションを計画中である。
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Research Products
(7 results)