2006 Fiscal Year Annual Research Report
国際標準としてのICF理念にもとづく「個別の教育支援計画」策定と実践モデルの構築
Project/Area Number |
18330203
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
片桐 和雄 金沢大学, 教育学部, 教授 (00004119)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 一義 金沢大学, 教育学部, 助教授 (90345645)
武居 渡 金沢大学, 教育学部, 助教授 (70322112)
小林 宏明 金沢大学, 教育学部, 助教授 (50334024)
河合 隆平 金沢大学, 教育学部, 講師 (40422654)
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Keywords | 個別の教育支援計画 / ICF(国際生活機能分類) / 自己実現 / 本人のニーズ分析 / 目標の具体性 / チームアプローチ / 自己決定過程 / 問題解決過程 |
Research Abstract |
本研究は,これまで障害児教育の場で蓄積されてきた障害の評価・診断や指導体系などの成果と実績を十分に踏まえたうえで,障害理解の"世界標準"たるICFの理念とパラダイムを活用した教育支援計画の策定を試みる.特に,(1)教育支援計画が当事者の生涯にわたる自己実現という大きな目標の下に位置づけられ,目標との関連で支援を明確にする,(2)教師がキーパーソンとなって,異なる領域の専門家たちとのチームアプローチの遂行を可能にすることを中心検討課題に据えて計画を策定する,(3)その妥当性と有効性を実際の継続的支援過程で検証することを目的としている.今年度は,養護学校に在籍する生徒をモデルケースとし,以下の個別課題を実施した。個別課題1.対象事例の発達と障害に関する基礎資料分析. 個別課題2.ニーズの把握,支援計画作成手続き,チームアプローチ遂行のための役割の明確化. 個別課題3.支援計画決定過程の検討、個別課題4.支援計画の実践と評価. この結果,教育支援計画策定過程におけるニーズ把握では,本人により表現されたニーズは概して一般的,抽象的であり,これとの関係では具体的支援計画の策定が困難であった.目標設定では,本人のニーズから発して実現可能で,かつ具体的内容へと収束させる過程が特に重要であった.具体的な目標が設定されてはじめて基礎資料からの評価能力が特定でき,かつ取り組むべき課題と必要な環境・支援が特定できた.さらにこのことは,具体的課題に向うチームアプローチを可能とした.そして,課題内容の設定では目標実現に向うためのステップを本人に問いながら設定する方法が有効であった.本人の知識に蓄積された各種方法を主に取り上げながら各ステップを構成できた.これより支援計画策定過程は,本人にとっての問題解決過程,自己決定過程としても位置づけられた.当面の課題は,モデルケースの独自性に着目しつつ上記個別課題での知見の蓄積である.
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