Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
間瀬 茂 東京工業大学, 情報理工学研究科, 教授 (70108190)
松本 裕行 名古屋大学, 大学院情報科学研究科, 教授 (00190538)
太田 克弘 慶應義塾大学, 理工学研究科, 教授 (40213722)
栗木 進二 大阪府立大学, 大学院工学研究科, 教授 (00167389)
三嶋 美和子 岐阜大学, 工学部, 助教授 (00283284)
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Research Abstract |
本年度は,まず,情報通信に用いられるCAC(Conflict-Avoiding Code)と呼ばれる符号の組合せ論的構成法について研究を行つた.あるn元集合のk元部分集合族をCとする.Cの任意の2つの集合AとBに対して,Aの任意の2つの要素の差(mod n)とBの任意の2つの要素の差(modn)が異なるときCをCACと呼ぶ.CACは多重アクセス通信のために導入された概念である.本研究では,与えられた符号長nに対するCのk元部分集合の数に対する上界をk≦5の場合に求め,その上限を達成するCACの構成法を与えた.k=3の場合には,すでに知られているLevenshteinの上界式を改良し,nが4の倍数のときにその上限を達成する符号を組合せ論的に構成した.証明の中で,グラフ論的手法も用い,分担者の協力を得た.また,k=4,5の場合には,それらの手法に加えて,ある条件を満足する素数の密度に関する数論の結果も用いて,上限を達成するCACが無限個存在することを示した.これらの結果は,現在,IEEE, SIAM Discrete Math.などのjournalに投稿中である. また,遺伝子情報解析のためのグループテストと呼ばれる手法では,pooling designに用いられるpoolとcloneの包含関係を表す結合行列の組合せ構造(Tanner graph)がpositive cloneの識別に影響を及ぼすが,その結合構造と類似の構造がLDPC符号のparity検査行列として用いられる,LDPC符号では,パリティ検査行列の各列の1の数が一定(regular)でない行列のクラスの中に,1の数が一定の場合より,ビット誤りに対する訂正能力が高いものがあることが知られている.グループテストの場合にも同様の性質をもつ結合構造があるか否かをシミュレーションにより調べたが,現在のところ,そのような結合構造は見つかっておらず,LDPC符号の場合とは異なる結果を得た.このことは,次年度もより詳細に比較を行いたい.さらに,グループテストのTanner graphに長さ4のサイクルが多く存在すると識別アルゴリズムが収束しないことがあることが知られているが,長さ6のサイクルがある場合とそうでない場合について,シミュレーションを行い,その収束値の差異を比較した.その結果,長さ6のサイクルの有無は収束値に大きな差を生じさせないことがわかった.次年度は,情報幾何的手法などを用いて,理論的に収束値の差の評価を行いたい.
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