2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18340041
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
谷島 賢二 学習院大学, 理学部, 教授 (80011758)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 周 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (50183520)
藤原 大輔 学習院大学, 理学部, 教授 (10011561)
水谷 明 学習院大学, 理学部, 教授 (80011716)
渡辺 一雄 学習院大学, 理学部, 助手 (90260851)
下村 明洋 学習院大学, 理学部, 助手 (00365066)
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Keywords | 量子力学 / シュレーディンガー作用素 / シュレーディンガー方程式 / 散乱理論 / 分散型評価 / 特異性伝播 / スペクトル理論 / 非線形方程式 |
Research Abstract |
量子力学に現れる線形・非線形偏微分方程式あるいは自己共役作用素について様々な角度から広汎に研究をおこなった。今年度における研究業績は以下のようである。 (1)研究代表者は量子力学の基本作用素であるシュレーディンガー作用素の散乱理論における波動作用素のルベーグ空間あるいはソボレフ空間における連続性を研究して、シュレーディンガ作用素が連続スペクトルの下端に特異性を持つ場合、波動作用素は空間の次元が2,4以外の場合には次元の半分とその双対指数を指数とするルベーグ空間あるいはソボレフ空間において連続となることを初めて証明した。これは研究代表者による従前の結果:連続スペクトルの下端にが正則点の場合、すべてのルベーグ指数に対して波動作用素が連続であるという結果の拡張で、シュレーディンガー方程式の解の分散型評価について新たな知見をあたえた。 (2)研究分担者中村周はシュレーディンガー方程式の解の正則性伝播問題とシュレーディンガー作用素のスペクトル理論について研究し、(a)2階微分の係数が解析的であるシュレーディンガー方程式の解の、超局所的解析性の伝播問題を、係数が無限遠方で長距離型である場合に、斉次波面集合という新たな概念を導入することによって、既存の研究方法を著しく簡単化すると同時に、その結果を拡張した。また(b)シュレーディンガー作用素に対するスペクトル・シフト関数のルベーグ・ノルムによる評価の方法を開発して、ランダム・シュレーディンガー作用素に適用し、この作用素に対する密度関数の新しい評価を得ることに成功した。 (3)研究分担者下村明洋は非線形シュレーディンガー方程式の解の長時間漸近挙動について研究し、(a)長距離型非線形項が消散型である場合に、解の新しい精密な長時間漸近形を発見した;(b)二次元空間において非線形項が解の絶対値の二次式で与えられるような非線形シュレーディンガー方程式は時間無限大で自由シュレーディンガー方程式の解に漸近するような解を持たないことを初めて証明した。また(c)右辺に4階微分を含むシュレーディンガー型の非線形方程式にたいして非線形項が消散型の場合に解の長時間漸近形を求めた。 (4)研究分担者渡辺一雄はMaxwell-Stokes系の方程式に対するinterface vanishingの問題について研究した。 (5)研究分担者藤原大輔はシュレーディンガー方程式に対する経路積分について引き続き研究を進展させ、大きな次元における停留位相法の誤差近似を精密化して経路積分の準古典近似の第二項を求めることに成功した。 (6)研究分担者水谷明は4階非線形楕円型方程式の境界値問題の有限要素法による数値解の精度保証について研究した。一次元の場合には解決し、多次元への拡張を検討中である。
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Research Products
(9 results)