2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18340041
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
谷島 賢二 Gakushuin University, 理学部, 教授 (80011758)
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Keywords | 量子力学 / シュレーディンガー作用素 / シュレーディンガー方程式 / 線形偏微分方程式 / 散乱理論 / 特異性伝播 / ファインマン経路積分 / スペクトル理論 |
Research Abstract |
量子物理学に現れる線形・非線型偏微分方程式の解の性質、あるいはハミルトンなどの作用素のスペクトルあるいは散乱理論について研究を行った。 (1) 研究代表者は以下の研究を行った。(a) 昨年度以来研究してきた、調和振動子の適当な符合条件をみたす優一次摂動の基本解のレゾナンス時間における特異性あるいは有界性の異常な振る舞いについての研究をデンマークAalborg大学Jensen教授との共同研究によって、21年のAalborg訪問中に完成させた。(b) 劣一次の磁場のポテンシャルをもつシュレーディンガー方程式の基本解の任意時間における有界性と正則性について研究を進めたが,古典軌道の解析の困難さのため、未だ解決には至っていない。(c) 非自己共役な1次元常微分作用素のスペクトル・擬スペクトルの解析を行い、既存の結果を拡張した。(d) 昨年度の繰り越し補助金によって招聘したDell'Antonio教授と、時間に関して特異点が移動する一点相互作用をふくむ、時間に依存した強い不連続性をもつポテンシャルを持つ時間依存型シュレーディンガー方程式の初期値問題の解の存在と一意性の問題を研究した。これを解決したと称する既存の文献には誤りがあることを発見したが、その解決には至らなかった。(e) シュレーディンガー方程式の解の存在定理に関して昨年度得られた結果をさらに改良しポテンシャル摂動に関する定理としてはほぼ最良と思われる結果を得た。しかし最高次の係数の摂動に関しては二次形式による定式化の枠内にとどまっていてさらなる改善を目指している。 (2) 連携研究者藤原大輔は引き続きファインマン経路積分の数学理論の研究を行った。 (3) 連携協力者中村周はランダム磁場をもつシュレーディンガー作用素のスペクトル理論ならびに多様体上のシュレーディンガー作用素に対するスペクトル・散乱理論、およびシュレーデインガー方程式の解の超局所特異性の伝播問題の研究を著しく進展させた。
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Research Products
(15 results)