2008 Fiscal Year Annual Research Report
湖沼における水質浄化のための二枚貝と底生魚類の生息に必要な底質環境に関する研究
Project/Area Number |
18360256
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Research Institution | Center for Environmental Science in Saitama |
Principal Investigator |
田中 仁志 Center for Environmental Science in Saitama, 水環境担当, 専門研究員 (40415378)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木持 謙 埼玉県環境科学国際センター, 水環境担当, 専門研究員 (50415379)
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Keywords | 二枚貝 / 底生魚類 / 底質環境 / 湖沼 / 水質浄化 / 生態系保全 / グロキジュウム幼生 / 行動 |
Research Abstract |
本研究は、ろ過能力の大きい淡水二枚貝の持続的生息に適した底質環境を明らかにすることにより、二枚貝の水質浄化への活用を展望している。平成20年度および21年度は、同一の池内に板で区切って異なる底質(砂利区:粒径<25mm、砂区;粒径1mm、又は泥(荒木田土)区:粒径<1mm)を再現したコンクリート製野外実験池(2.5mW×12.5mL×1mH)において、H18年にイシガイ科ドブガイ成貝とそのグロキジュウム幼生の宿主魚(メダカおよびヨシノボリ)を放流した後の、稚貝発生状況を指標として、二枚貝の生息に適した底質を評価した。調査実験は、H20年5月、同9月及びH21年10月の計3回行い、実施回ごとに調査場所を変えて表面から10cmまで底質を採取し、フルイ(目合1mm)で稚貝を選別して稚貝個体密度(個体/m^2)と個体サイズ(殻長)を記録した。宿主魚は、実験池内の異底質間を自由に移動可能であり、特定の底質にのみ分布するような行動は観察されなかった。さらに、実験期間中、実験池内でメダカ及びヨシノボリの繁殖を確認した。稚貝は、H19年6月には全底質で確認できなかったものの、H20年5月は砂区0.03個体/m^2、泥区0.02個体/m^2、同年9月は砂区0.13個体/m^2、泥区0.04個体/m^2、H21年10月は砂区0.04個体/m^2、泥区0.05個体/m^2の密度で確認された。特に、H21年10月に初めて、ドブガイの性成熟するとされる殻長50mm超の個体が、砂区と泥区において採集された。一方、砂利区では4回の全調査において稚貝を確認できず、砂利は稚貝の成長に不適当な底質環境と推察された。実験池を用いて砂や泥を用いて造成した人為的底質環境によるドブガイ、そしてその宿主魚の世代交代に成功した一連の成果は、淡水二枚貝の持続的生息に必要な底質環境の解明に向けた基礎的ではあるが重要な知見と考えられる。
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Research Products
(4 results)