2008 Fiscal Year Annual Research Report
全天に開口したその場計測型超高速微粒子検出器の試作
Project/Area Number |
18360409
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
宮地 孝 Waseda University, 理工学術院, 教授 (20013401)
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Keywords | 超高速微粒子衝突 / スペースダストモニター / その場計測型微粒子検出器 / 圧電性PZT / 質量-速度分離 |
Research Abstract |
昨年度予定されていたマックスプランク原子核研究所(以下MPI)の照射実験が国内事情により実施できなかったので、東大重照射施設の加速装置(以下HIT)の実験で、校正に関わるデータを集積し解析することを今年度目標とした。 HITの実験では、銀粒子を1km/s程度に加速して、圧電性PZT素子に衝突させた。振幅と運動量の実験式を提案した。 この解析過程で、特徴的なパルス信号が発生することを確認した。この信号を調べるために、速度1~2km/sの範囲で銀粒子と圧電性PZT素子の衝突実験をHITで実施した。パルス信号は数サイクル程度出来するが1μs程度で減衰する。信号は衝突発光と同時発生する。パルス信号の振幅と粒子の電荷量は線形の関係を示す。振幅は粒子の運動量に比例し、従来の低速域の実験を再現した。なお当該パルス信号は従来から認識されていた衝突直後の弾性特性で観測された信号と異なる。 以前集積したMPI実験データで低速域データを再度精査した。その結果、対応する信号が確認できた。MPIの場合、粒子質量が小さいので、パルス信号が顕著ではないが、双方の実験結果を統一的に認識できた。 従来の弾性的応答とパルス信号の特徴を一体とした校正方法を検討した。微粒子の電荷量が100fCを越える場合、素子には静電的に誘発される信号が観測されるので、この性質を考慮した速度と質量の分離測定を提案する。 なお高速衝突の場合、PZT応答の多様性を考慮した実験式により、質量を推定できる事を報告した。 PZT応答は高エネルギーXeイオン照射実験を用いて補完した。 以上の結果、速度による分類の制限はあるが、その場計測検出器の応答信号を解析して、衝突粒子の速度と質量を分離計測可能なことを論じた。
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