2009 Fiscal Year Annual Research Report
線虫の神経回路における情報処理機構-多面的なアプローチによる分子遺伝学的研究-
Project/Area Number |
18370004
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石原 健 Kyushu University, 大学院・理学研究院, 教授 (10249948)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古賀 誠人 九州大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (60243888)
藤原 学 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教 (70359933)
広津 崇亮 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教 (70404035)
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Keywords | 学習 / 神経回路 / 脳 / 情報伝達 / 線虫 / 行動 / 遺伝学 |
Research Abstract |
線虫C. elegansを用いて、情報処理を司る分子メカニズムの解析を進めた。本年度においては、グアニル酸シクラーゼGCY-28と、分泌タンパク質HEN-1とその受容体SCD-2との関係を明らかにするために、二重変異体を作製し表現型を解析したところ、GCY-28とHEN-1/SCD-2とは、独立の経路で情報の統合を制御していることが明らかになった。また、これらの経路が制御している行動可塑性の一つ塩走性学習に関しても、独立の経路で制御していることがわかった。これらのことは、単純な神経回路における単純な情報処理においても、複雑なシグナル系によって制御されていることを示唆している。 神経における情報処理は、外部環境だけでなく内部環境による制御も受けている。この内部環境による情報処理の制御について、匂い物質ジアセチルに対する走性を指標に解析を進めた。これまでの解析から、生殖腺の成熟が、ジアセチルに対する応答に重要であることが明らかになっていたことから、生殖細胞がなくてもジアセチルに対する応答が野生型と同程度になる変異体のスクリーニングを進め、新たな変異体を同定した。この変異体の原因遺伝子を同定するために、染色体上に原因遺伝子をマッピングしたところ、V番染色体の中央付近にあることが明らかになった。また、匂いを受容する感覚ニューロンの活動をカルシウム感受性蛍光タンパク質を用いて測定したところ、生殖腺の有無によって、感覚受容そのものには違いがないことが推定された。
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Research Products
(17 results)