Research Abstract |
青果物の貯蔵性を維持することは,作物の流通にとって最も重要なテーマである.近年,酸化チタンに紫外線を照射し,励起した電子を用いて人為的に活性酸素種を作り出し,殺菌やエチレンの分解を行う光触媒を作物の貯蔵に用いる試みがなされている.そこで,申請者らは,従来のように換気された貯蔵庫ではなく,密閉した貯蔵庫で光触媒を用い,エチレンを分解すると共に酸素や炭酸ガスを一定濃度に維持し続ける貯蔵技術の開発を目的として,平成18年度から研究を開始した.その結果,光触媒を用いることにより,閉鎖系貯蔵庫内におけるエチレン,炭酸ガス濃度を低く維持できることが明らかとなったが,実用的段階に至るまでには,更なる貯蔵庫の改良が必要であったため,平成19年度では,主に下記の研究を行った. (1)光触媒貯蔵庫を改良した.具体的には,閉鎖系貯蔵庫を2つのコンパートメントに分け,貯蔵庫内に蓄積するガスを光触媒装置を設置した第2貯蔵庫に送り,その中で,貯蔵庫内のガスに含まれるエチレンを分解して,再度貯蔵庫に戻すシステムを開発した.その結果,従来の方法に比べ,貯蔵庫内のエチレン濃度抑制効果を更に高めた. (2)(1)と同様,光触媒貯蔵庫を改良した結果,貯蔵庫内の炭酸ガス濃度抑制効果を更に高めた. (3)日持ち性の悪い山形県在来メロン‘ライフ'の貯蔵性向上に成功した. 以上の結果を踏まえ,平成20年度以降では,日持ち性の改善に重点を置いた光触媒装置及び貯蔵法の更なる改良を行う.
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