2006 Fiscal Year Annual Research Report
サイプレスパイン材の香気成分による肥満因子生成抑制作用と作用機構の解明
Project/Area Number |
18380104
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
光永 徹 岐阜大学, 応用生物科学部, 助教授 (20219679)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 英雄 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (80021723)
清水 邦義 九州大学, 大学院農学研究科, 助手 (20346836)
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Keywords | サイプレスパイン / 香気成分 / 交感神経 / 中性脂肪 / コレステロール / シトロネル酸 / グアイオール / オイデスモール |
Research Abstract |
サイプレス材はヒノキ科独特の強い香りを持っているため、本研究ではその香り成分の生理活性機能の一つとして、香りを嗅ぐことによる肥満抑制効果について検討した。予備実験でサイプレスパイン材を床敷きに用いて飼育したマウスの血中脂肪量が、コントロール群に比べ大幅に減少することが見いだされているが、平成18年度は、その原因がサイプレスパイン材の香気成分であるかを調べた。すなわち、材から水蒸気蒸留して得た精油を用いて同様の実験を行った。精油成分はシトロネル酸、グアイオール、オイデスモールが主要成分で、その揮発成分はモノテルペンやセスキテルペン炭化水素群であった。興味深いことに、この揮発成分は時間が経つにつれ成分組成および種類が変化し、比較的早い時間にシトロネル酸やグアイアズレンなどの高揮発成分が放散することが分かった。血中の脂肪量は、材で得た結果と同様にコレステロールの減少は認められなかったが、中性脂肪は半減した。また、マウス肝臓中の中性脂肪は激減することも明らかにした。よって、サイプレス材から揮発する香り成分がマウス血中の脂肪代謝に大きく影響することが明らかとなった。次に、精油成分を高揮発性、中揮発性、難揮発性画分に分け、同様に中性脂肪の変化を調べたところ、シトロネル酸を主要成分とする、高揮発性画分がもっとも効果が高く、香りを嗅がせた直後に測定した中性脂肪がもっとも低い値を示す結果を支持した。現在は、サイプレスパイン材香気成分による中性脂肪減少メカニズムを解明するために、精油を嗅がせた麻酔ラットの交感神経活動を電気化学的手法で測定し、肥満抑制作用が神経伝達系の活性化を通して起こるかどうかを検証しているが、香気成分がある濃度以上になると交感神経の活動電位が確かに上昇することを確認している。今後は測定条件や分画成分との関係について詳細に活動電位について知見を深める予定である。
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