2009 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類卵子の品質の判定法の開発:卵胞選抜の分子制御機構に基づいて
Project/Area Number |
18380164
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
眞鍋 昇 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (80243070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮野 隆 神戸大学, 農学部, 教授 (80200195)
奥田 潔 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (40177168)
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Keywords | 卵子品質 / 卵胞閉鎖 / 細胞死阻害因子 / 顆粒層細胞 / アポトーシス / 哺乳類 / 卵巣 / 発現制御 |
Research Abstract |
脊椎動物は、多様な生殖戦略をもつ。魚類では多くの仔の中で優れたものだけが生き残る。哺乳類では性周期毎に僅かの卵子が排卵され、授精して胎仔となり、母体内で発育して出産するが、これを大切に育てる。成熟した哺乳類の卵巣には、胎児期に減数分裂を開始し、出産後休眠している卵子が数万~数十万個含まれており、性周期毎に卵胞とともに発育・成熟して排卵に至る。最終的に排卵にいたる卵胞・卵子の100倍以上が発達を開始し、途中で99%以上が選択的に死滅する。このような卵胞・卵子の選択的死滅は、優秀で強靭な子孫を残すための選抜戦略として重要であるが、分子制御機構の全容は未解明である。本研究の目的は、哺乳類の卵巣において繰り返される卵胞・卵子の選択的死滅を調節している制御機構を解明し、これを利用して本来死滅すべき「低品質卵子」と排卵にいたる「高品質卵子」を判別する手法を開発することである。これは、体細胞クローン動物作出などの様々な動物バイオテクノロジーに供される卵子の品質を保証できる技術を確立することにつながる。今年度は、卵胞顆粒層細胞に発現している可溶性細胞死受容体を同定するとともに細胞死受容体を介する細胞内アポトーシス・シグナル伝達系を担うカスパーゼ系分子機構の解析を進めた。加えて細胞内でシグナル伝達を阻害している阻害因子(cFLIPとXIAP)が顆粒層細胞に高発現している卵胞の卵子は健常性が高いことを確認し、卵子品質判定のマーカーとして優れていることを示した。
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