2007 Fiscal Year Annual Research Report
バニロイド受容体を介した痛覚過敏発現メカニズムの解明とインビトロ痛覚定量系の確立
Project/Area Number |
18380171
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
太田 利男 Hokkaido University, 大学院・獣医学研究科, 准教授 (20176895)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲波 修 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (10193559)
今川 敏明 北海道大学, 大学院・先端生命科学研究院, 准教授 (20142177)
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Keywords | バニロイド / カプサイシン / ナトリウムイオン / 痛覚過敏 / 遺伝子クローニング |
Research Abstract |
本研究の目的は、神経原性疼痛や炎症性疼痛で生じる痛覚過敏の発現機構を明らかにするため、近年痛覚受容体分子としてその重要性が示唆されているバニロイド(TRPV1)受容体に着目し、その機能調節メカニズムを明らかにすることである。 本年度は、ブタバニロイド受容体遺伝子蛋白質を異所性発現させたHEK293細胞および内因性に本受容体を発現している知覚神経細胞(後根神経節細胞)を用いて、本受容体チャネルを介した細胞内カルシウム増加反応とイオンチャネル活性を調べた。更に、チャネル活性をFRET解析により同定できる実験系を作成した。その結果、チャネル活性が恒常的に細胞外ナトリウムイオンにより抑制性に制御されていることを明らかにした。遺伝子変異体の発現解析により、細胞外ナトリウムイオン認識部位は水素イオンを結合するアミノ酸であることを見出した。ヒトバニロイド遺伝子をクローニングし、発現解析した結果、ブタバニロイド受容体と同様なナトリウムイオン調節機構があることがわかった。細胞外低ナトリウム状態ではバニロイドアゴニストや酸、高温(42℃以上)による感受性が増加したことから、本機構は低ナトリウム血症で生じる痛覚過敏の一因であることを明らかにした(Ohta, Imagawa & Ito, J. Biol. Chem., 2008)。
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