2008 Fiscal Year Annual Research Report
バニロイド受容体を介した痛覚過敏発現メカニズムの解明とインビトロ痛覚定量系の確立
Project/Area Number |
18380171
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
太田 利男 Tottori University, 農学部, 教授 (20176895)
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Keywords | カプサイシン / 細胞内Ca濃度 / パッチクランプ / 知覚神経細胞 / TRPV1欠損マウス / ヒスタミン |
Research Abstract |
本研究の目的は、神経原性疼痛や炎症性疼痛で生じる痛覚過敏の発現機構を明らかにするため、近年痛覚受容体分子としてその重要性が示唆されているバニロイド(TRPV1)受容体に着目し、その機能調節メカニズムを明らかにすることである。本年度は炎症性痛覚過敏の発生メカニズムを調べるために、マウス知覚神経細胞を用いて、TRPV1受容体の活性化に対する炎症性メディエーターであるヒスタミンの作用を検討した。TRPV1受容体の活性化の定量は知覚神経細胞における細胞内Caイメージングおよびパッチクランプ法による膜電位測定により行った。pH7-pH5.5による細胞内Ca増加反応はワイルドマウスでは生じたが、TRPV1受容体欠損マウス由来の知覚神経では生じなかった。酸による細胞内Ca増加反応及び脱分極反応はヒスタミンにより有意に増強された。RT-PCRによりマウス知覚神経細胞にはヒスタミン受容体H1,2,3,4全てのサブタイプが発現していることが分かった。ヒスタミン受容体拮抗薬と作動薬を用いた薬理学的検索により、ヒスタミンによるTRPV1受容体活性化の増強にはH1受容体が関与していることが明らかになった。更にH1受容体刺激はその下流にあるプロテインキナーゼCの活性化を介してTRPV1受容体のリン酸化を増加させることを示した。これらの成績から炎症時に生じる痛覚過敏にはヒスタミンによるTRPV1受容体の活性化の増強が関与している可能性が示唆された。
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