2006 Fiscal Year Annual Research Report
水素制限培養による難培養性嫌気有機塩素化合物分解菌の制御と汚染浄化への活用
Project/Area Number |
18380191
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
矢木 修身 日本大学, 大学院総合科学研究科, 教授 (40132865)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中嶋 陸安 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (10059660)
栗栖 太 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (30312979)
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Keywords | クロロエチレン / 嫌気性微生物 / 脱ハロゲン分解 / 13C-SIP法 / 有害化学物質 / 揮発性有機塩素化合物 |
Research Abstract |
ハス田土壌を微生物源として、集積培養を繰り返すことによりcis-ジクロロエチレン(cis-DCE)を脱塩素化する集積培養系を確立した。構築した集積培養系は、cis-DCE、ビニルクロリド、トリクロロエチレンをエチレンにまで脱塩素化したが、PCE、 trans-DCE、 1,1-DCEに対する脱塩素化能は認められなかった。構築した集積培養系のクローン解析を行ったところ、既知のDehalococcoides属細菌と異なった新規なDehalococcoides属細菌の存在が示唆された。既知の脱塩素化酵素遺伝子tceA、 vcrA、 bvcAの存在を調べたところ、vcrA遺伝子の存在が確認できた。しかし、TCE脱塩素酵素をコードするtceAが検出されなかったことより、tceAに代わる新規脱塩素化酵素の存在が示唆された。 有効容量1Lのジャー培養装置に750m 1の培地を添加し、槽内を窒素ガスで置換し、Na_2Sで酸化還元電位を-260〜280mV程度及び-300mV以下に維持して、集積培養系のクロロエチレン分解能及び微生物群集構造解析を行った。-260〜-280mV程度の系では、TCEの一部がcis-DCEおよびVCへと脱塩素化されたが、エチレンまで脱塩素化されず、-300mV以下の系ではエチレンまで完全に脱塩素化された。-300mV以下の系ではDehalococcoides属細菌数は10^7 copies/mLまで増加し全細菌数の約5%を占め、Dehalococcoides属細菌以外に脱塩素化に関与する2種のUncultured bacterium clone、 Clostridium aciditolerans類縁クローンの存在が確認された。酸化還元電位に関し、Dehalococcoides属細菌の活性発現には-300mV以下が重要と考えられた。低濃度水素の影響については、混合培養系の脱塩素活性が弱く明確な結果は得られなかった。また土壌成分が脱ハロゲン活性の発現に大きく関与していることが判明した。以上のように集積培養系の諸性質が明らかとなり、純粋化のための多くの情報を得ることができた。
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