2008 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍発生・進展における非定型的メチル化シトシンの病態学的意義についての網羅的解析
Project/Area Number |
18390114
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
前田 盛 Kobe University, 大学院・医学研究科, 客員教授 (50030911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北澤 荘平 神戸大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (90186239)
北澤 理子 神戸大学, 大学院・医学研究科, 講師 (00273780)
近藤 武史 神戸大学, 大学院・医学研究科, 助教 (20335441)
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Keywords | 非CpGアイランド / メチル化シトシン / 遺伝子プロモータ / 膀胱癌 / BAMBI / 転写制御 |
Research Abstract |
種々の遺伝子の転写調節領域に存在するCpG-islandのメチル化は、遺伝子発現を抑制的に制御するが、私どもは、非CpG-islandのシトシンメチル化による転写制御について検討した。神経成長因子(NGF)の高親和性受容体TrkA遺伝子プロモータ領域には、非CpG-islandにAP-1類似配列(TGAGCGA)が存在する。このAP-1類似配列へのc-Jun蛋白結合は転写抑制機能を有するため、膵癌の解析では、高度メチル化の細胞株や組織検体ではTrkAが高発現となり、神経周囲浸潤とも相関していた。 TGFβ腫瘍細胞の増殖を促進するが、偽受容体BAMBIはTGFβ/BMPシグナルを遮断して、細胞増殖や骨形成を抑制する。今年度も継続して、膀胱癌、大腸癌、前立腺癌で、CpGメチル化によるBAMBI発現低下に関して、病理 組織検体を用いて解析した。ミャンマーと本邦の検体を解析して、組織型がhigh grade群ではlow grade群よりもCpGメチル化が高度でBAMBI発現が低く、ミャンマーの症例では本邦よりもメチル化が高頻度であった。平成20年度は、各種膀胱癌培養細胞株を用いて、TGFβシグナルの網胞増殖、アポトーシス、細胞遊走能への効果を検討し、BAMBIの強制発現、siRNAの効果を解析した。BAMBI強制発現は、膀胱癌細胞株のアポトーシスを増加させ、TGFβによる細胞遊走を抑制することを明らかにした。このことから、high grade症例でのメチル化によるBAMBI発現低下が、アポトーシスの減少や細胞遊走の促進により、生物学的悪性度の増加に寄与する可能性が示唆された。 以上の研究成果の一部は、第98回日本病理学会総会、第67回日本癌学会総会にて発表するともに、International Journal of Cancerに採択された。
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Research Products
(4 results)