2009 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍発生・進展における非定型的メチル化シトシンの病態学的意義についての網羅的解析
Project/Area Number |
18390114
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
前田 盛 Kobe University, 医学研究科, 戦略的客員教授 (50030911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北澤 荘平 神戸大学, 医学研究科, 特命教授 (90186239)
北澤 理子 神戸大学, 医学研究科, 特命講師 (00273780)
近藤 武史 神戸大学, 医学研究科, 特命講師 (20335441)
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Keywords | 非CpGアイランド / メチル化シトシン / 遺伝子プロモータ / 膀胱癌 / BANBI / 転写制御 |
Research Abstract |
種々の遺伝子の転写調節領域に存在するCpG-islandのメチル化は、遺伝子発現を抑制的に制御するが、私どもは、非CpG-islandのシトシンメチル化による転写制御に着目して研究を行った。剖検輯報などに基づく統計では、糖尿病患者で悪性腫瘍の発生率が増加するというデータもあるが、詳細は明らかではない。私どもは、ラットのストレプトゾトシン(STZ)誘発糖尿病の腎病変を解析する過程で、腎皮質の腺腫~腺癌の発生が有意に増加することを見い出した。腫瘍の増殖に関与する細胞周期関連遺伝子P16に着目して、対照群と糖尿病群の、非腫瘍部と腫瘍病変において、P16の発現とP16遺伝子プロモータ領域のメチル化について検討した。 P16遺伝子プロモータ領域には、TATA-box近傍から上流側、下流側にCpC islandが存在する。正常ラット腎臓では、免疫染色にてP16蛋白発現が確認され、DNA解析では、P16遺伝子プロモータ領域に、メチル化はほとんどなかった。STZ誘発糖尿病ラット腎臓では、小型腺腫病変の段階で、P16蛋白発現低下を認めた。腫瘍結節と非腫瘍部をマイクロダイセクションにてサンプリングして、P16プロモータDNAメチル化を比較検討すると、糖尿病ラットでは、メチル化頻度の増加傾向を示し、さらに腫瘍部分の初期変化としてCpGのみならずTATA-box近傍のnon-CpGのシトシンメチル化頻度が高いことが明らかになった。酸化的ストレスに対する治療介入実験の結果から、酸化的ストレスによるDNA修飾により、CpG非依存的なde novo methylationが起こり、P16発現低下による増殖促進に寄与することが示唆された。 以上の研究成果の一部は、第99回日本病理学会総会で報告する予定であり、論文投稿準備中である。
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Research Products
(4 results)