Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兼子 直 弘前大学, 大学院・医学研究科, 教授 (40106852)
若林 孝一 弘前大学, 大学院・医学研究科, 教授 (50240768)
上野 伸哉 弘前大学, 大学院・医学研究科, 教授 (00312158)
福澤 雅志 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (10231557)
兼松 隆 九州大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (10264053)
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Research Abstract |
家族性及び孤発性のてんかんと学習障害・精神発達障害を共存する患者から発見された遺伝子変異を導入した遺伝子改変モデル動物を作出した。各種解析では,本遺伝子改変モデル動物は,てんかん症状はヒトてんかんに類似した症状を獲得しており,表現的妥当性(てんかん発作症状が人てんかん患者の発作と同等であるか否か)が検証され,同時に,構造的妥当性(予測される病態が人と同等であるか否か)・予測的妥当性(人患者への治療反応性が同等であるか否か)も検証された。しかし,行動学的解析では,学習・記憶と情報知覚機能への変異は検出できず,学習障害・精神発達障害としての,構造的妥当性は検出できなかった。以上の結果は,てんかんと学習障害・精神発達障害を共存する患者から同定された変異遺伝子は,てんかんの分子病態としては,責任遺伝子としての可能性を積極的に支持する結果であるが,学習障害・精神発達障害の責任遺伝子を支持することは出来なかった。以上から,本遺伝子改変モデル動物は,ヒトてんかんモデル動物としては,充分に病態解析に耐えうる実験動物であると判断し,発症に関わる分子メカニズムの解析を行った。人疾患と同等の症状獲得以前に,既に3種類の神経伝達機構の変異を確認したが,これらの伝達機能変異が個々に発症に対する直接的なトリガーとして機能している可能性を示す結果は得られなかった。しかし,この3種類の機能変異全てを補正することで,発症を防止出来る可能性を示唆する結果が得られた。
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