2008 Fiscal Year Annual Research Report
末期がん患者の呼吸困難感発生の機序の解明と治療法の開発を目指した研究
Project/Area Number |
18390425
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
西野 卓 Chiba University, 大学院・医学研究院, 教授 (80009703)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯寄 奈保 千葉大学, 医学部・附属病院, 助教 (10400970)
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Keywords | 呼吸困難 / 疼痛 / 呼吸負荷 / 熱疼痛閾値 |
Research Abstract |
がん患者では呼吸困難と疼痛が同時に存在することを散見する。本年度は呼吸困難が疼痛に対して如何なる影響を及ぼすかについて検討した。また、このような呼吸困難の疼痛への影響に男女差があるか否かを検討した。方法は健康男子および女子被験者各30名を対象とし、被験者に高二酸化炭素血症および弾性呼吸負荷からなる呼吸負荷を与え、呼吸困難状態を作り、その状態下で前腕部に熱プローべで疼痛刺激を与えた。熱プローべは温度を40℃から0.25℃/秒の割合で上昇させ疼痛閾値を測定した。疼痛閾値については呼吸負荷が無く呼吸困難感が存在しない状態での値と比較検討した。結果として、呼吸困難時に疼痛閾値は有意に上昇したが、性差が認められた。すなわち、呼吸困難発生時の疼痛閾値は男性で上昇し、女性では変化なかった。男女共に呼吸困難感と疼痛閾値の間に優位な相関を認めなかったが、呼吸数、分時換気量と呼吸困難感との問には優位な相関を認めた。しかし、最大吸気圧と落痛閾値の問では男性で優位な相関を認めたが、女性では認めなかった。以上より、呼吸困難が疼痛に及ぼす影響には性差が存在し、この性差に吸気努力に伴う呼吸系力学変化が関与することが示唆された。本研究の意義は呼吸困難と疼痛が同時に存在する場合、疼痛の程度に性差があることを明らかにした点であり、さらにその性差が生じる機序を明確にした点である。呼吸困難と疼痛と併発している患者では治療の際に性差を考慮すべきという点を示唆した臨床的意義は高い。
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Research Products
(4 results)