2008 Fiscal Year Annual Research Report
母体栄養障害による胎児脳の成人疾患へのプログラミングとその解除に関する実験的研究
Project/Area Number |
18390443
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岡村 州博 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 教授 (90124560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 芳孝 東北大学, 国際研究教育機構, 教授 (40261622)
千坂 泰 東北大学, 病院, 講師 (40323026)
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Keywords | Fetal origin of adult disease / 生活習慣病 / epigenetics / 低栄養妊娠マウスモデル / Igf2 promoter P1領域 / H3, H4 Histone / バイサルファイト法 / Cckbr |
Research Abstract |
母体の栄養障害が胎児の脳に影響し成人後の精神障害の原因になっているのではないかと考えられている。本研究の目的は、母体低栄養が胎児に与える影響の機序を動物実験で明らかにする事であった。前年度まではモデルマウスを用い低タンパク質制限を行った実験で発症の機序にepigeneticsが強く関与している事が想定された。本年度は、これをより詳しく調べるためにepigeneticsの補酵素である葉酸に注目し、葉酸の欠乏でも同様の遺伝子発現変化が起こるかを調べた。十分な栄養を給餌した「通常餌群」ならびにこれと同等の熱量を有するものの蛋白質のみ50%に制限された制限餌を交配開始前から給餌された「制限餌群(1)」、また、妊娠0日目から葉酸のみを抜いた「制限餌群(2)」と妊娠8日目から葉酸のみを抜いた「制限餌群(3)」の4群を準備し、胎齢17日の胎仔から胎盤および脳を採取してRNAを抽出し,これらの臓器でepigeneticな調節を受けている遺伝子群を中心にRNAの発現をRT-PCRを用いて調査した. 制限餌群(3)で有意に胎盤重量、胎仔重要の低下が見られた。脳では、制限餌群(1)、(2)、(3)において脳内オリゴデンドロサイトの増殖を亢進するIgf2の発現低下が見られた。制限食群(3)ではこの発現低下に雌雄差が見られた。また、制限餌群(3)で、メス・オス共通してepigeneticsに不可欠の酵素であるHadoc7aの著明な発現低下が見られた。これはヒストンのアセチル化が進行していることを示し、バイサルファイト法でもメチル化の減少を確認した。また、生活習慣病を誘発する遺伝子Cckbrや、脳内GAB受容体やセロトニン分泌に関与する遺伝子BMPの発現がメスで特異的に増加しており、母体低栄養が胎児脳に及ぼす影響に遺伝子調節レベルでの異常が大きく関係している事が分かった。
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Research Products
(2 results)