2006 Fiscal Year Annual Research Report
モンゴルの白樺樹皮文献と白樺樹皮文化に関する調査研究
Project/Area Number |
18401016
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Research Institution | The University of Shimane |
Principal Investigator |
井上 治 The University of Shimane, 総合政策学部, 教授 (70287944)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 順一 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (70063716)
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Keywords | 中央アジア文献学 / 史料学 / 東洋史 / 言語学 / 民俗学 / 国際情報交換 / モンゴル:中国 |
Research Abstract |
井上とアルタンザヤーは本研究課題に先行して行ったモンゴル中・西部出土白樺文献研究で得られた画像をもとに、すでに行った解読の結果を確認し、解釈に疑問の残る点をピックアップし、次年度に詳しく考究すべき課題とした。文字面の特徴から、取り扱っている17世紀後半に書かれたものであろうと推測している。モンゴル国中部と西部の白樺文献のテキストに見られる異同は小さく、仏典をチベット語からモンゴル語に訳す際に、厳密な直訳を志向するか、モンゴル語としての意味の通りを重視するかによって違いが発生したのだろうと考えるに至っている。テキストの同定は、当該年度中に終了する予定であったが、扱っている白樺樹皮の殆どが断簡であるため順調には進まなかった。民間信仰に由来する「根源の献香」や「金鎧の経」の一部であることを同定できたものもあった。また、当該年度末に北京で、エルデムトが保管する新疆出土の白樺文献を実見調査した。全体量は20葉にも満たないものであった。現状記録のためにデジタルカメラでの通常の写真撮影以外に、当地の技術者の協力を得て、赤外撮影を行い、撮影終了後、デジタル画像をPCで処理した後、記憶媒体に複製してエルデムトに保管させた。樹皮の上面にこびりついた土に隠れた墨跡は赤外画像で一部解読可能となったが、予想以上に破損が進んでおり、樹皮が折り重なった部分は全く解読することができなかった。クリーニングと修復が望まれるが、これは本課題で達成を目指している事柄ではないため、効果的な対策を採るまでには至らなかった。これ以外に、次年度以降に行う同定作業の対照資料とするために、早稲田大学戸山図書館所蔵のモンゴル語大蔵経を複製した。また、次年度に調査を予定しているモンゴル西部、中部、新疆のモンゴル人の生活文化、とくに樹木(樹皮)使用の文化について文献や当該地域の比較的詳細な地図を入手した。
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