2006 Fiscal Year Annual Research Report
人間環境としての照葉樹林の植物学的解析-中国と日本を対比して
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18405014
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Research Institution | The Museum of Nature and Human Activities, Hyogo |
Principal Investigator |
岩槻 邦男 The Museum of Nature and Human Activities, Hyogo, 館長 (10025348)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 保 兵庫県立大学, 自然環境研究所, 教授 (00244690)
武田 義明 神戸大学, 大学院・人間発達環境学研究科, 教授 (90155028)
林 蘇娟 島根大学, 生物資源学部, 准教授 (10362914)
黒田 有寿茂 兵庫県立大学, 自然環境研究所, 助教 (30433329)
橋本 佳延 兵庫県立人と自然の博物館, 研究員 (60372140)
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Keywords | 照葉樹林 / シダ植物 / 日中比較 / 種多様性 / 種分化 / 植物相 / 武夷山世界自然遺産地域 / 西双版納自然保護地域 |
Research Abstract |
本研究は中国と日本に残されているすぐれた照葉樹林の構造と機能を比較観察し、その異同と人為的影響のあり方を植物学的に明らかにすることを通じて照葉樹林の持続性を考える科学的根拠を提供することを目的とし、特に照葉樹林林床の主要構成要素であるシダ植物に着目して日中間のその種組成の比較および種分化の解析を実施した。種分化の解析では,オシダ属、イノデ属、イノモトソウ属などの対象として,標本を採取しDNA解析を実施する計画である。 平成19年度は,平成18年度繰越予算を用いて引き続き福建省武夷山世界自然遺産地域においてシダ植物の種分化に関する調査を行った。 調査地は武夷山自然保護区と武夷山山脈の北東部(茫蕩山)の照葉樹林とし,林下のシダ植物を採集調査した.その結果,シダ植物の標本218点と細胞学分析用のサンプル(約50点)を採集した。細胞学分析用のサンプルのうち,ナンピイノデについて細胞学的観察を行った結果,中国産のナンピイノデが日本産のものと同じく2倍体であることが判明し,日本に固有と思われていたナンピイノデが中国大陸にも分布することが明らかとなった. なおこの成果の一部は,日本植物分類が会第7回大会にて「中華人民共和国福建省武夷山におけるPolystichumotomasui Kura (Dryopteridaceae)の新分布」(発表者:長本三鈴、林蘇娼、鈴木武、海老原淳、盧海声、劉剣秋、徐自坤、武素功、岩槻邦男)としてポスター発表した。 平成20年度調査では、引き続き武夷山地域においてシダ植物の種分化解析のための標本を収集し,細胞学分析およびDNA解析を進める。
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