2006 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおけるFasciola japonicumの分布、起源および進化
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18405035
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
板垣 匡 岩手大学, 農学部, 教授 (80203074)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 美樹子 岩手大学, 農学部, 助手 (20302060)
柴原 壽行 鳥取大学, 医学部, 助教授 (70116937)
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Keywords | 肝蛭 / 中国 / 単為生殖型 / 両性生殖型 / ITS1 / ウシ / ヤク / 分布 |
Research Abstract |
本年度は、中国における単為生殖型肝蛭の分布を明らかにするため、平成18年8月から9月にかけて内モンゴル自治区フフホト、ウイグル自治区ウルムチ、青海省西寧、福建省福州、貴州省貴陽の屠畜場で肝蛭に感染したウシとヤクの肝臓より虫体を回収し、70%エタノールにて圧平固定、染色体観察用処理を施して日本に持ち帰った。圧平固定虫体については、写真撮影した後、一部を切除してゲノムDNAを抽出し、残った頭部部分はカーミン染色を施して貯精嚢内の精子の有無を観察した。その結果、フフホト、ウルムチおよび西寧のウシまたはヤクより得た虫体は全て貯精嚢内に多数の精子が観察されたことから、両性生殖型肝蛭(F.hepaticaまたはF.gigantica)であり、また虫体の外部形態、体長・体幅の比からこれらの両性生殖虫体はF.hepaticaであると考えられた。一方、福州のウシから回収された虫体は貯精嚢内に精子が全くみられないか、あるいは未熟な精原細胞と考えられる細胞が少数観察されたことから、単為生殖型肝蛭であると考えられた。これらのウシは中国北部の長春市から導入されていることから、次年度は同地域の調査を行うことが必要であると考えられた。また、貴陽から得られた虫体は、両性生殖型肝蛭と単為生殖型肝蛭の両方がみられ、ウシの個体ごとに異なっていた。現在、それぞれの虫体から得たゲノムDNAを用いて核rDNAのITS1(internal transcribed spacer1)配列を解明し、虫体の遺伝子型を解析している。
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Research Products
(2 results)