2006 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジアにおけるマメジカ類の生理生態学的調査と増殖保存に関する研究
Project/Area Number |
18405036
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
福田 勝洋 名古屋大学, 大学院生命農学研究科, 教授 (10012022)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宗宮 弘明 名古屋大学, 大学院生命農学研究科, 教授 (50147972)
遠藤 秀紀 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (30249908)
岩下 新太郎 三菱化学, 生命科学研究所, 主任研究員 (90092147)
木村 順平 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (30177919)
佐々木 基樹 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (50332482)
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Keywords | 動物 / 進化 / 解剖学 / 生態学 / 種の保全 |
Research Abstract |
マメジカ類は偶蹄目、反芻亜目に属し、現存する全ての有蹄類の中で最も小さいだけでなく、反芻亜目の原型であるとも言われ、家畜の進化の上からも興味ある動物である。我々の過去の研究から、反芻亜目に属するにもかかわらず、反芻亜目や偶蹄目でみられない特異な形質を明らかにしてきた。 今年度の調査では、さらに特性を幅広く検討するとともに、比較検討のため、マメジカ同様に3域からなる複合胃をもち、特有の進化をとげた南米のリャマの調査も行った。得られた成果は以下の通りである。 1)反芻動物では、一般に唾液腺のうち耳下腺の発達が悪いが、マメジカは体重当たりの重量が大きく(2.5g/kg)、ウシなどの反芻家畜や野生のキョンやニホンシカとの比較においても最大であり、食性変化に対する適応の過程がみとめられた。 2)哺乳類のゲノムの大半は「がらくたDNA」である散在性反復因子で占められており、反芻動物ではLineの一つRTE-1エレメントにあるp97Bcnt遺伝子が報告されている、マメジカにはウシとの相同性の高いp97Bcnt遺伝子が存在し、ラクダには存在しないことから、反芻類の早い段階でp97Bcnt遺伝子が創出されることが推測された。 3)マメジカ、キョン、ニホンシカの後肢の筋の比較検討から、マメジカの後肢では、近位部の外側、遠位部の頭側に筋が集中しており、反芻動物の後肢における基本的な役割を明らかにした。 4)マメジカの精巣におけるステロイドホルモン産生にかかわる、調節蛋白(StAr)、酵素(P450scc,P450c17,3β HSD)、ステロイド受容体(ERα,ERβ)の局在から、Leydig細胞やSertoli細胞のステロイドホルモン分泌が、ERαを介したLeydig細胞の機能と、ERβを介する精子の成熟に影響を及ぼすことを明らかにした。 5)マメジカは偶蹄目に反芻亜目に属するにもかかわらず怪網を欠くが、南米産のリャマでは、怪網は存在するものの、内頚動脈が発達しており、マメジカと反芻家畜の中間の形態を示すことが明らかになった。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Novel erythrocyte pits in the small tropical ruminant, lesse mouse deer.2007
Author(s)
Fukuta, K., Orui, T., Sasaki, M., Endo, H., Kudo, H., Kimura, J.
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Journal Title
Anatomia Histologia Embryologia (In press)
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[Journal Article] Immunohistochemical detection of the steroidogenic enzymes and steroid receptors in the testis of the leeser mouse deer (Tragulus javanicus).2006
Author(s)
Sasaki, M, Endo, H., Kimura, J., Agungpriyono, S., Fukuta, K.
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Journal Title
The 2^<nd> Symposium of the Asian Zoo and Wildlife Medicine, Bangkok (Proceedings)
Pages: 66