2007 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジアにおけるマメジカ類の生理生態学的調査と増殖保存に関する研究
Project/Area Number |
18405036
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
福田 勝洋 Okayama University of Science, 理学部, 教授 (10012022)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宗宮 弘明 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (50147972)
遠藤 秀紀 東京大学, 総合研究博物館, 教授 (30249908)
岩下 新太郎 いわき明星大学, 薬学部, 教授 (90092147)
佐々木 基樹 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (50332482)
押田 龍夫 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (50374765)
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Keywords | 反芻動物 / 系統進化 / 形態学 / 国際研究者交流 / 生態学 / 種の保全 |
Research Abstract |
マメジカは現存する反芻動物の原型とされる動物で、他の反芻動物と異なる特性が明らかになってきた。マメジカ類に特有の形質が進化の過程で保持されたものか、あるいは獲得されたものかを比較形態学的な観点から探究し、種の保全に不可欠な発情周期の解明など繁殖学的な観点からの調査を行った。得られた成果は以下の通りである。 1.マメジカは偶蹄目に特有の怪網を欠き、内頚動脈により脳への血液供給が行われる。マメジカと同様に角を欠き牙状犬歯をもつため原始的な反芻動物とされるキバノロでは、内頚動脈を欠き怪網をもつ。南米産ラクダ類のラマでは怪網は発達しているが、内頚動脈も残存する。マメジカは怪網を欠く唯一の反芻動物であることが確認され、怪網の欠損は内頚動脈の存否だけでは説明がつかず、怪網形成が生じる以前に系統樹かち分離したより原始的な反芻動物と考えられる。 2.動物の増殖には、発情期を適確に捉え自然交配あるいは人工授精などを適切に行うことが不可欠になる。発情兆候が不明確なマメジカでは性ホルモンの状況をみるため、糞中プロゲステロンの測定を行った。マメジカでもプロゲステロンの測定が可能となったが、国内の動物園やインドネシアでの飼育動物から収集した糞を分析した今回のデータからは発情周期を確定できなかった。 3.反芻動物のパイエル板は腸管の部位によりT細胞系(空腸パイエル板)とB細胞系(回腸パイエル板)に分かれる独特のリンパ系をもつ。マメジカの調査では、組織学的観察から機能的にT細胞系とB細胞系のパイエル板をもち、免疫学的には他の反芻動物との類似性が推測された。
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Research Products
(4 results)