2006 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の歩行中における重心動揺の体力的・バイオメカニクス的研究
Project/Area Number |
18500498
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University of Health and Sport Sciences |
Principal Investigator |
金子 公宥 大阪体育大学, 体育学部, 教授 (00067232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 章 大阪体育大学, 体育学部, 教授 (80067248)
淵本 隆文 大阪体育大学, 体育学部, 教授 (90133537)
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Keywords | 歩行 / バランス / 高齢者 / 身体重心 / 体力 |
Research Abstract |
高齢者の歩行運動におけるバランス能力を探るため,身体重心の動きを三次元解析し,若年者との比較を通して高齢者の特徴を探った。被験者は高齢男性25名(平均年齢75・5±6・3歳)と対照群の大学生男生25名(21.2±0.8歳)で、自由歩行における動作を2台のビデオカメラに収録し、身体重心の三次元座標値分析し、次の結果をえた。 1.高齢群の歩行速度が遅い原因は,歩調よりむしろ歩幅の狭さに起因しており、特に高齢群では足向角(爪先の開き)が大きく,歩隔(左右方向の足幅)の狭い、いわゆる「外股歩き」の特徴が認められた。 2.歩行中における身体重心の動揺は、左右動の場合、若年群が左右方向に均等な揺れを示したのに対し,高齢群の揺れは一方向に偏向する傾向にあった。重心の上下動には高齢群と若年群の間に有意差が認められなかったが、前後動では、高齢群では片脚支持期のピーク(mid・stance)直前に後方へ身体重心の進行が遅れ,スイング期に加速する傾向が認められた。 3.三次元空間における高齢者の重心動揺の特徴は,(若年群に比して)(1)片脚支持期の中期mid・stance)に向けて,重心が上昇しつつ後方に遅れる、(2)上下動はほぼ同期しているが左右方向への重心動揺が偏向する傾向にあり,対身長比でみた重心動揺の移動離では高齢群の方が若年群より明らかに小さい。 4.体力テスト結果との関係では、重心上下動の大きい高齢者ほどバランス能力が優れている傾向にあったが、前後・左右動揺との間には特別な関係が認められなかった。 以上の結果から、自由歩行における高齢者の特徴は、若年者に比して進行方向への速度変化が大きく、左右方向と上下方向への移動範囲が狭く、立脚中期(ミッドスタンス)に入る前の前方移動が遅いことから、若年者よりやや不安定な歩行をする傾向にあると考えられた。
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Research Products
(1 results)