2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18500507
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山田 茂 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (50092367)
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Keywords | 血液幹細胞 / 骨格筋肥大 / FACS / サテライト細胞 / 運動適応 |
Research Abstract |
これまでの運動の適応機構を鑑みると多くは組織内の変化として捉えられてきた。各細胞における代謝や脂肪組織・骨格筋組織の増減などである。骨格筋肥大についてみると、筋細胞の肥大と増殖がその主な機構として捉えられ、筋細胞肥大を誘導する内分泌系・神経系や組織内での成長因子などの働きに関する研究が主であった。すなわち生体は神経系や内分泌系などに制御され、さらに組織内の液性因子によって調整されるというものである。今回の実験では筋肥大に伴い、身体全体から幹細胞の供給をうけ、筋肥大や再生に深くかかわる機構が存在していることを示したものである。すなわち、細胞の供給系としての新たな運動適応機構が存在することがほぼ明らかになった。実験では単核球が4-8日目に増加することが明らかになった。これらの成分には多能性幹細胞や全細胞系統の造血前駆細胞などが数多く含まれていることから、Lin抗体を用いてほとんどの成熟白血球性分を削除して、残った単核球がどのような挙動を示すか観察した結果この未熟な細胞群は骨格筋肥大誘導により血液から急激に減少することが判明した。このことは血液から他の組織に移行したことが考えられる。骨格筋肥大に伴い筋組織の中には多くの浸澗細胞が負荷後2日目ころから観察されている。従って、少なくとも多機能幹細胞などの血液から筋組織への移行が示唆される。さらにCD34+細胞である造血幹細胞や多機能幹細胞を除いた細胞群も筋肥大誘導後急激に減少を示した。これらの細胞群にはSP細胞など未分化な多機能幹細胞が数多く含まれている。この結果も骨格筋肥大に貢献している可能性が考えられる。血液中のSP細胞は運動負荷に伴い増加することが示された。このように未分化な多機能幹細胞が骨格筋肥大誘導によって動員されることが明らかになった。
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Research Products
(4 results)