2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18500641
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
佐々木 佳世子 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 生物機能工学研究部門, 客員研究員 (70338903)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 英世 山形大学, 農学部, 准教授 (60235380)
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Keywords | 糖尿病 / 血管障害 / 酸化ストレス / 生体分子 / 培養細胞 / 生理活性 / 鉄 / グルタチオン |
Research Abstract |
糖尿病性血管障害の発症に関わる未知のメカニズムを解明することを目的とした本研究において,平成20年度には,その発症の原因となる可能性を持つ新規候補因子を化学合成により得ることができた。これまでに,鉄存在下/高グルコース状態において,グルタチオンは何らかの形でグルコースと反応していることがNMRおよびMSのデータから示されていたが,結合部位としてはグルタチオンのN位とS位の2ヵ所の候補が存在した。当初,自らもしくは共同研究により化学合成を行おうとしたが成功せず,今年度,受託合成により得ることができた。受託合成においても,通常であれば本研究費全ての5倍ほどかかる予定であったため,申請者が合成経路を示すことで,受託企業との連携で何とか本年度中に,N-1-deoxy-fructos-1-yl-glutathioneとS-fructos linked glutathioneを得ることに成功した。本物質が糖尿病性血管障害の原因因子のひとつとなりうることが明らかになれば,今後,実際の医療の現場や食事療法など栄養の現場へ与える影響も大きいものになると考えられる。 また,培養ヒト臍帯静脈内皮細胞および培養ヒト腎メサンギウム細胞について,生細胞における酸化ストレス消去活性の基礎データを把握することができた。今後,これらの細胞の酸化ストレス消去系に対する上記合成物質の影響を調べることで,糖尿病性血管障害のメカニズムが明らかになっていくのではないかと期待される。
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