2007 Fiscal Year Annual Research Report
AMS法による古代鉄製品の放射性炭素年代測定-その開発と応用-
Project/Area Number |
18500774
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Research Institution | Gangoji Research Institute of Archaeology, Cultural Anthropology, and Conservation Science |
Principal Investigator |
山田 哲也 Gangoji Research Institute of Archaeology, Cultural Anthropology, and Conservation Science, 研究部, 研究員 (80261212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚本 敏夫 財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (30241269)
中村 俊夫 名古屋大学, 年代測定総合研究センター, 教授 (10135387)
小田 寛貴 名古屋大学, 年代測定総合研究センター, 助教 (30293690)
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Keywords | 加速器質量分析(AMS)法 / 鉄製品 / 14_C年代測定 / 年代値 / 鍛錬 / 鍛冶 / 木炭 / 炭素 |
Research Abstract |
本年度は、加速器質量分析(AMS)法による古代の鉄製品の^<14>C年代測定を確立し、鉄製品に直接的な年代値を付与することを目的として研究を実施した。 まず、鍛錬鍛冶実験を通じて、その際使用した木炭および鍛錬工程で得られた鉄試料の冶金学的分析とその鉄製品のAMS法による^<14>C年代測定を行い、炭素同位体分別の発生についての検討をおこなった。その結果、鉄中の炭素履歴は、鍛錬実験に用いる前の木炭とほぼ同一の年代を示し、鍛錬の際に用いられた木炭に置き換えられることがわかった。つまり、鉄製品中の炭素は、各製作工程ごとに用いた木炭の炭素に影響を受けて、鉄製品中の炭素履歴が置換されるため、鉄製品に内在する炭素を抽出して^<14>C年代測定をおこなうことにより、古代の鉄製品に直接的に年代を付与することが可能であり、その鉄製品の^<14>C年代測定を行うことの正当性と有効性を確認することかできた。しかし、炭素同位体分別の発生については、その原因について明らかにすることは不可能であった。 また、この成果を基に、古代の鍛造鉄製品を冶金学的分析で製作技法等を検討し、AMS法による^<14>C年代の測定をおこなった。同時に、供伴していた遺物で^<14>C年代測定可能な遺物についても、測定してクロスチェックをおこなった。これらの化学的分析結果と考古学的な考察のうえで、鍛造鉄製品の製作技術の把握を試み、これまでの間接的な年代を見直し、直接的な年代値を鍛造鉄製品に与えることができた しかし、中には、測定年代に測定誤差を越えたばらつきや、測定試料に炭素同位体分別が生じたり、鍛錬に用いられた木炭と造られた鉄の^<14>C年代値に若干の時間差がみられることがあった。これらの事象を今後、解明してゆくことが古代の鉄製品の^<14>C年代を測定して行く上での課題として残った。
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