2008 Fiscal Year Annual Research Report
生分解性キレート剤を用いた植物プランクトンの増殖制御技術の開発
Project/Area Number |
18510071
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
長谷川 浩 Kanazawa University, 物質化学系, 准教授 (90253335)
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Keywords | 生分解性キレート剤 / 鉄 / 錯生成 / 植物プランクトン / 海洋 / スペシエーション / 生物学的有効性 / サイズ分画 |
Research Abstract |
1. フォトダーオードアレイを備えた高速液体クロマトグラフィー(PDA/HPLC)を用いて、海水培地中における生分解性キレート剤の高感度分析法を開発した。また、多量のキレート剤が共存する海水培地中より溶存微量鉄を濃縮分離する前処理法を新たに確立した。 2. 室内培養において、生分解性キレート剤を添加した条件で海洋植物プランクトンの生長時の鉄及びキレート剤の濃度変化を明らかにした。これらの分析には、前述した分析法を用いた。植物プランクトンによる鉄の取り込み量は、^<55>Feをトレーサーとして液体シンチレーションカウンターにて求めた。鉄に関して植物プランクトン周囲の化学平衡モデルを構築し、平衡計算ソフトMINEQL+を用いて、鉄のスペシエーションを明らかにし、各化学種の生物学的有効性を解析した。 3. 生分解性キレート剤の自然水中における分解挙動を確認した。一般細菌を用いて液体培地で3日間分解試験を実施した結果、指標として用いたEDTAが全く分解しなかったのに対して、5種類の生分解性キレート剤は10-45%の分解率を示した。一方、海洋植物プランクトンは、生分解性キレート剤に対する分解能力を持っていないことが分かった。 4. 昨年度に引き続き、屋外に小型メソコスムを設置して、生分解性キレート剤を添加した海洋植物プランクトンの培養実験を5月から9月にかけて実施し、生分解性キレート剤が海洋植物プランクトンの増殖に対して及ぼす影響を検討した結果、全ての生分解性キレート剤において植物プランクトンの増殖時には鉄や主栄養塩であるリン酸濃度等が著しく減少する等、昨年度得られた結果の再現性が確認できた。
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