2006 Fiscal Year Annual Research Report
現存本の悉皆調査を通じた読本の出板流通に関する書誌学的研究
Project/Area Number |
18520114
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
高木 元 千葉大学, 文学部, 教授 (00226747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 仁 同朋大学, 文学部, 教授 (20103153)
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Keywords | 読本 / 出版・流通 / 書目年表 / 書誌 / 近世後期小説 / 受容史 |
Research Abstract |
継続研究の第一年目にあたる本年度は、今までの調査で充分な情報が得られていなかった書目や項目について、分担者との綿密な打ち合わせをした上で、大部に所蔵されている機関等のうち未調査のところから調査を開始した。 未調査のコレクションであった横山邦治氏(読本研究の泰斗)の御所蔵本について、夏休みに広島の御自宅を訪問し分担者との共同調査を実施した。横山氏が大著『読本の研究』で触れられたことを原本に就いて確認できたのは大きな成果であった。また、明治期貸本屋の旧蔵書が収められているものの未公開である愛媛県立図書館の調査を、愛媛大学の福田氏の協力を得て実現でき、多数の明治期後印本の書誌データの収集が出来た。明治期に入っても貸本屋の品揃えとして江戸読本が不可欠であったこと、それも馬琴読本の持つ息の長い商品価値について識ることができた。年度末には、一大読本コレクションを蔵する学習院大学国文学研究室の資料を、延べ四日間にわたって調査をすることができた。昭和三十年代に文部省の補助金を得て購入された資料群であったが、その母体は「漆山文庫」という新潟県の医師に拠る収集の由。その多くは貸本屋本で後印本ではあるが、纏まった蔵書として読本の流通に関する貴重な資料であった。 残された未調査コレクションとしては早稲田大学図書館があるが、昨年よりインターネット上で画像データが公開され続けており、諸板の確認については居ながらにして可能になった。ありがたいことである。 今年度までの調査で収集したデジタル画像は膨大な枚数にのぼり、これらの整理を続ける必要がある。これも次年度への継続作業となる。 なお、本研究課題は一年前繰り上げ申請をしたものであるため、旧課題の報告書をまとめる作業が必要となり、年度末からこれに取り掛かっている。最低限、現在明らかになっている所蔵機関の一覧を完成させ、大方の利用に供したい。
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