Research Abstract |
平成18年度は,(i)参考文献を通して,早期英語教育における文字指導の有効性と,文字がその後の英語学習に及ぼす影響に関して,先行研究を整理し直すこと,(ii)小学校英語における文字導入の実態と,児童がどの程度の文字能力をすでに獲得しているかを多角的語彙習得モデルに基づき徹底的に調査すること,という2点について重点的に行う年と位置づけた。 (i)については,必要な文献を購入したり,取り寄せたりしたものを通して資料を収集した。 (ii)については,岐阜県内の小学校2校(1校は小学校英語教育特区に属する小学校),長野県内の小学校1校,計3校の協力を賜り,多角的語彙習得モデルに基づいた語彙と文宇導入に関するアンケート,及び英語活動の実施状況に関する聞き取り調査を実施した。また,同様のアンケートと聞き取り調査を,韓国慶州市内の3小学校(そのうち一つは私立小学校)にも実際に出向いて実施し,日韓あわせて,約1800枚のアンケートを収集した。その結果については現在鋭意解析中であるが,今のところ各小学校間で文字能力の較差があること,韓国の小学校の方が文字に関する能力が高いこと,などがわかってきている。 また,今後の資料収集に活用できる,音声認識エンジンを搭載したソフトウェアを,(株)アドバンスト・メディアの協力により作成した。すでに夏休みに本学で行った小学生対象の英語講座などで,約150名の児童が本ソフトウェアを使用し,若干の資料も収集できたが,今後修正すべき部分もみつかり,来年度以降も検討を続けていく予定である。 これまでの文字導入・文字指導に関する研究の一部については,10月に開拓杜より刊行された「小学校英語への文字導入についての考察」(『言葉の絆』(卯城祐司・太田一昭・太田聡・滝沢直宏・田中伸一・西田光一・山田英二編))にまとめ,発表した。
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