2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520529
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Research Institution | Gangoji Research Institute of Archaeology, Cultural Anthropology, and Conservation Science |
Principal Investigator |
近藤 正子 (金山 正子) Gangoji Research Institute of Archaeology, Cultural Anthropology, and Conservation Science, 研究部, 総括研究員 (20311491)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小村 眞理 (財)元興寺文化財研究所, 研究部, 主任研究員 (10261215)
井上 美知子 財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 主任技師 (70223279)
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Keywords | 近現代資料 / 没食子インク / 保存状熊調査 / インク・コロージオン / インク焼け / 劣化促進試験 / 鉄イオン / 保存処理 |
Research Abstract |
研究の全体構想は、近現代紙資料の素材分析と歴史考証を踏まえたうえで、資料にみられる劣化症状とその要因を把握し、それらの劣化を抑制する予防的処置を開発し、さらにすでに劣化した資料に対しては、それぞれの記録素材に適した保存処理技術を確立することである。本研究においては、これまでの記録素材の劣化に関する研究を基盤として、とくにインク書き資料の劣化に焦点を絞り、鉄や銅などの金属イオンを含む記録素材にみられる腐食現象を抑制する具体的方法について検討を重ねるとともに、すでに劣化症状の顕著な近現代インク書き資料の強化方法を検討した。これらは、保存処理が急がれるにもかかわらずその対処が遅れている。その一因は、劣化損傷状況の把握・素材分析および劣化抑制・強化の究明が進んでいないからでもある。本研究は、わが国において、今後大量に保存されていく近現代資料、なかでもこれまで放置されてきたインク書き資料の自然崩壊に歯止めをかけることを目的とするものである。 素材分析としては、(1)インク腐食劣化の症状を分析し、酸性劣化した用紙から硫酸アルミニウムの析出物を確認した。(2)サンプル用紙の劣化促進実験を行なって得られた数種の劣化生成物について分析した。(3)市販のインク、および昨年度の海外のインク劣化資料の実地調査(オランダ)で収集したインクサンプルの劣化促進実験と比較検討をした。(4)インク劣化の予防措置である抗酸化処理の各種用紙、各種インクでの効果を比較検討した。今年度が本科研の最終年度であるが、今後も引き続きインク劣化資料の強化処理および予防措置についての検討を続ける予定である。
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Research Products
(2 results)