2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18530002
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
寺尾 美子 The University of Tokyo, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (20114431)
|
Keywords | 内部告発者 / 公益通報者 / コンプライアンス / アメリカ |
Research Abstract |
アメリカの内部告発者保護法制は、連邦法、州法に分かれ、それぞれにつき制定法・判例法が存在する。また制定法についても広く一般的に適用される法制と、個別分野の法制がある。本年度は、これらにつき、各種の情報を収集し、各論的考察を推進した。アメリカのこのテーマに関する法制の全体像は大きく、関連する情報の量も膨大であり、各論的考察を十分に行うことのできた分野はそれほど多くはなかったが、幾つかの分野でこれを行うことことで、個別法制の特徴や、制度間の類似性・共通項を発見し、これまでの研究を取りまとめ、総合的考察を行う素地を整えることができた。 本年度行った各論的考察の対象は、連邦法が中心であった。連邦の制定法による内部告発者保護法制の整備は、1972年に制定されたWater Poliution Control Actに始まり、環境保護関係、原子力発電関係、公衆衛生関係、公衆安全関係など、多岐に渡る分野で進められた。本年度の研究では、一方ではそれぞれの分野の制度の共通点、相違点を探るとともに、他方において、これらの制度の法運用の実際、別の言い方をすれば、内部告発者保護の法的手続の実際を調査することを進めた。連邦制度のもとでは、内部告発者である被用者(労働者)の保護は、連邦の労働者保護制度の枠組の中で行われており、労働省の行政法審判官(administrative law judge)が主催する手続が中心となる。そのプロセスが実際にどのように法的に構築されているかの研究を行った。また、こうした連邦の内部告発者保護法制と、州の制度との関係についても、ある程度の研究を行うことができた。
|