2006 Fiscal Year Annual Research Report
成果主義人事制度の運用実態に関する事例的・計量的研究-人事データによる日米比較
Project/Area Number |
18530130
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
都留 康 一橋大学, 経済研究所, 教授 (00155441)
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Keywords | 自動車販売会社 / 人事データ / 人事制度改革 / インセンティブ強度 / 従業員個人の生産性 |
Research Abstract |
本研究課題の具体的目的は,日本の自動車販売会社(J社)とアメリカの自動車販売会社(A社)の人事データと従業員意識調査結果とを用いて,以下の4点を明らかにすることである.すなわち,(1)従業員個人にとっての基本給とボーナスを含む総報酬の変動はどの程度なのか,特に個人の年々の賃金上昇・下落はどの程度の頻度で発生するのか,(2)人事評価の具体的方法はいかなるものか,(3)労働努力と賃金との連動性(インセンティブ強度)はどの程度の大きさなのか,(4)それらの経済的要因は従業員属性や職種構成に代表される社会的・制度的制約条件とどのように関連するのか-以上の点を明らかにすることが本研究の具体的目的である. (1)以上の研究課題に関して,まずJ社については,パネル化した人事データと従業員意識調査結果とを用いて,個人別賃金や人事評価結果のバラツキの推移を観察した後に,生産関数を推定した.これにより,人事制度改革の結果,総報酬のバラツキや上昇・下落がどのように変化したのか,改革がもたらした従業員個人の生産性上昇効果やモラールがどう変化したのかを明らかにした.賃金構造面では,30歳代での賃金のバラツキが大きく拡大し,平均的には生産性を高めていることが明らかになった.しかし同時に,新車営業スタッフと中古車営業スタッフには異なる影響が生じており,後者には人事制度改革が生産性向上効果をもたず,またモラールも悪化していることが判明した. (2)他方,A社に関しては,人事データの入手が大幅に遅れたために,現状ではデータ整理の段階にある.しかし,当所予定していた自動車販売会社以外に合計3社の販売車種の異なる企業データを入手できたため,次年度は有意義な研究ができると期待している.
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