2008 Fiscal Year Annual Research Report
漁業資源に関する多国間交渉を事例とする新しい協力・非協力混成型ゲームモデルの開発
Project/Area Number |
18530175
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中西 訓嗣 Kobe University, 大学院・経済学研究科, 教授 (20237324)
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Keywords | 漁業交渉 / 排他的経済水域 / ソーシャル・シチュエーション理論 / 社会的ジレンマ / 非協力先見安定集合 |
Research Abstract |
1.協力・非協力混成形ゲームモデルの展開に関わる研究の一環として,プレイヤー間のコミュニケーションが可能で、すべてのプレイヤーが十分に先見的(farsighted)であるような環境における「社会的ジレンマ」に関する分析を行った。非協力先見安定集合(NFSS)を解概念として採用し,その存在と一意性を証明した。さらに,非協力先見安定集合と,Harsanyiの狭義安定集合(Strictly Stable Set), Chweの最大整合集合(Largest Consistent Set),およびSuzuki and Muto による協力先見安定集合(CFSS)など他の解概念との関係についても解明した。(研究発表〔雑誌論文〕中西2009参照。) 2.昨年度に引き一続き,1遠洋漁業国・2資源保有沿岸国からなる漁業交渉モデルを構築して,個別並行交渉,2段階交渉,および一括交渉という3つの異なる交渉シナリオのそれぞれが、各沿岸国の排他の経済水域内での漁獲高,遠洋漁業国から沿岸国へ支払われる入漁料率,各国の経済厚生等に対していかなる影響を及ぼすのかについて検討を行った。資源保有沿岸国の漁業資源賦存状況の差異に応じて、各交渉シナリオの持つ厚生的な意義(各国がどのような交渉シナリオを選好するのか)が大きく異なってくることを解明した。これらの結果については、国際学会において研究報告を行った。(研究発表〔学会発表〕柴田2008参照。)
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