2009 Fiscal Year Annual Research Report
漁業資源に関する多国間交渉を事例とする新しい協力・非協力混成型ゲームモデルの開発
Project/Area Number |
18530175
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中西 訓嗣 Kobe University, 大学院・経済学研究科, 教授 (20237324)
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Keywords | 漁業交渉 / 排他的経済水域 / ソーシャル・シチュエーション理論 / 社会的ジレンマ / 非協力先見安定集合 |
Research Abstract |
1.協力・非協力混成ゲームモデルの展開および漁業交渉・条約のネットワーク的側面の重複する領域に関わる研究の一環として,国際的なネットワーク経済統合の形成と安定性に関する分析を行った。各国が,自発的かつ自由にネットワーク経済統合に参加したり,脱退したりできる環境において,いかなるネットワーク統合が最終的なものとして成立するのかを明らかにした。各国が他国による経済統合への参加・脱退のシークエンスの結果を十分に見通せるほど先見的(farsighted)ならば,ネットワーク統合の安定集合が一意的に存在し,しかも世界全体の観点から見て効率的なネットワーク統合が必ず含まれることを証明した。(研究発表〔図書〕中西2010の第7章参照。) 2.1遠洋漁業国・2資源保有沿岸国による個別並行交渉,2段階交渉,および一括交渉という3つの異なる交渉シナリオを分析する交渉ゲームモデルの彫琢を行った。この研究については,2007年皮以降,本年度も含めて数度にわたって国際学会において発表を行っているが,本年度の作業はこれらの国際学会における討論・コメント等を踏まえてモデルの精緻化と洗練を図ったものである(研究発表〔学会発表〕柴田2009参照。) 3.フロー選好とストック選好という「異なる性質の目的を持つプレイヤー」が含まれる交渉ケームモデルを構築した。これは,なぜフロー選好主体(ex.捕鯨国)がストック選好主体(ex.反捕鯨国)との交渉の場に臨み(ex.国際捕鯨委員会への参加)しかも幾分か不利な交渉結果を受け入れているのかについて,非協力状態における観測費用の負担と協力状態における観測費用のストック選好主体への転嫁に注目して説明するモデルである。(未公表:論文準備中。)
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