2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18530235
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福田 祐一 Osaka University, 大学院・経済学研究科, 准教授 (00243147)
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Keywords | イールドスプレッド / 景気後退確率 / 金融政策反応関数 |
Research Abstract |
本年度は,平成18年度の日本のイールドスプレッド,東証株価指数等と将来の景気後退確率の関係に関する実証分析を拡張した。まず,18年度においては,現在のイールドスプレッドと5ヶ月先の景気後退確率の関係について構造変化テストを行っていたが,1から6ヶ月先の景気後退確率との関係についてもテストし,すべてのケースで1996年後半から1997年前半に構造変化している可能性が高いとの結果が得られた。次に,18年度に得られたイールドスプレッドが東証株価指数に比べて将来の景気後退確率に関して有意な情報をもつ理由について,消費資産価格モデルに基づき考察を行い,現在時点で確定される株式収益率は過去から現在までの消費成長率に関する情報を反映するのに対し,現在のイールドスプレッドは将来の消費成長率を反映するため,イールドスプレッドが将来の経済活動について正確な情報を持つ可能性が高いことが示された。次に,日本の金融政策反応関数とイールドスプレッドの景気予測の関係について実証分析を行った。まず,日本の金融政策反応関数について構造変化テストを行い,1985,1991,1994,2000年に構造変化が観察されることが示され,1994年以降は名目金利がGDPギャップにほとんど反応しないという結果が得られた。これをもとにイールドスプレッドと将来の経済活動の関係を分析したところ,1994年以降イールドスプレッドが将来の経済活動の情報を持たなくなっている可能性が高いという結果が得られた。この結論は,欧米の先行研究と同じものであり,日本のイールドスプレッドの将来景気情報含意にも,金融政策が強く影響している可能性が高いことが明らかにされた。
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Research Products
(2 results)