2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18530264
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Research Institution | Takasaki City University of Economics |
Principal Investigator |
唐澤 達之 Takasaki City University of Economics, 経済学部, 教授 (10295438)
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Keywords | 経済史 / イギリス / 近世 / 都市 / ノリッジ / 歴史 |
Research Abstract |
本研究の課題は,工業化の前提条件を準備した近世イギリスにおいて,都市成長のための基盤整備がハード・ソフトの両面でどのように進められたのかを,代表的な地方都市のひとつであるノリッヂを取り上げ,実証的に検討することである。平成20年度は,申請時の計画通り,昨年度までに収集した史資料とそれをもとに作成されたデータベースの本格的な分析に取り組むとともに,分析の過程で新たに必要となった史資料の収集,データベースの再構成を中心に研究を進めた。より具体的には,都市会計簿の徹底的な分析と,都市法人が受託者となった慈善信託の体系的なデータ作成および分析である。また10月末から11月初めには,後者の作業のプロセスで新たに必要となった関連資料を,ロンドンのナショナル・アーカイヴズを直接訪問し,マイクロフィルム化されていない史料の探索・収集を行った。こうした作業の結果,都市法人が市内および市周辺に不動産や公共施設を所有し,それらを市民に対して有利な条件で提供していたこと,そしてまた,これらの財産以外にも市民から信託された財産を管理運用していたことがわかってきた。これらの成果の一部は,「都市会計簿からみたイングランド近世都市-ノリッジの収入役会計簿(1727/8年)の分析-」『産業研究』(高崎経済大学付属産業研究所,44巻2号,2009年3月)にまとめることができた。今後は,都市会計簿にみえる都市財政の長期的趨勢,慈善信託において都市法人が受託者として資産を集積していくプロセスと資産運用の実態の分析を進め,それらを基礎として,都市法人が都市の生活基盤整備において果たした役割についての再検討を試みたい。
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Research Products
(1 results)