2007 Fiscal Year Annual Research Report
非営利介護サービス組織における組織変革の国際比較〜日本とスウェーデンの事例分析〜
Project/Area Number |
18530288
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
岡田 耕一郎 Tohoku Gakuin University, 経済学部, 准教授 (70265180)
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Keywords | ユニットケア / 老人ホーム / 介護 / スウェーデン / サービス組織 / 介護サービスシステム |
Research Abstract |
平成19年度の研究では、まず介護サービス組織変革の基礎となるサービスシステムに目を向け、スウェーデンとわが国のユニット型老人ホームにおける介護職員の勤務実態を調査した。より詳細に分析を加えるために、介護職員のタイムスタディーも合わせて実施し、個別ケアを実践している両者を比較した結果、相違点として、(1)スウェーデンの老人ホームでは介護サービスの安定性のため個々のユニットが自己充足的に介護職員を勤務表上で確保することに力点を置いている、(2)スウェーデンの老人ホームでは介護サービスレベルを設定し、そのサービスレベルを維持するために、一定数の介護職員を安定的に勤務表上で確保するという仕組みが構築されている、(3)スウェーデンの老人ホームでは個別ケアの実践に力点が置かれていたが、わが国の個別ケアは名ばかりで実質的には集団ケアにとどまっていることが明らかとなった。 スウェーデンの老人ホームでは、介護サービスの質を第一義としながら、低コストの可能性を探るような発想がみられた一方で、わが国の老人ホームでは低コストを第一義としながら、介護サービスの質の向上を模索するような発想がみられたが、そもそも介護は職員のマンパワーに直接的に依存せざるをえず、わが国の老人ホームの発想では、低コストを追求しながらサービスの質を向上させることで介護職員を疲弊させ、介護サービス組織の崩壊にもっなカミりかねない。したがって、理念主導型で固定されたユニットの規模を前提に介護サービス組織の変革を進めるのではなく、まず安定した介護サービスを提供することができる介護サービスシステムと組織の均衡状態を導出した上で、介護ユニットの規模を細分化するような手法、すなわち現状の一般的なプロセスとは逆のプロセスを進める必要性が明らかとなった。
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