2007 Fiscal Year Annual Research Report
株式会社立学校の設置と経営の現状に関する比較調査研究
Project/Area Number |
18530632
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
上田 学 Kyoto Women's University, 発達教育学部, 教授 (60103834)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松 郁夫 国立教育政策研究所, 部長 (10130296)
小松 茂久 神戸学院大学, 人文学部, 教授 (50205506)
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Keywords | 会社立学校 / 経営者 / 校長 / 株式 / 資金調達 / 学校の独自性 / 公的規制と補助金 |
Research Abstract |
近年の内閣府による特区政策により新たに登場した「株式会社立学校」のあり方を検討するため、海外での事例研究並びに国内での実例を対象とした調査を実施した。 本年度の研究の成果は以下のとおりである。 (1) 英国の場合、通常の学校が原則として理事会を個々に組織して、学校運営にあたっているのに対し、会社立学校では本社が個々の学校経営に関する情報を授受し、本社が統合的な役割を果たしている。しかし個々の学校の事情と校長以下学校側の意向を聴取し、不断の密接なコミュニケーションをとる努力をすることによって、情報の欠落と不信感の除去に努めている。 (2) 中国(大連)の場合には校長と本社との協力関係によって、経営目標の達成につとめるという手法がとられている。この学校を経営する理事会での校長の権限は大きく、また理事長と校長の間の相互信頼関係によって、学校経営は順調に進んでいると判断できた。 (3) 日本の事例として「朝日塾中高等学校」では、独自のカリキュラムを開発し、生徒募集と学力の向上に努めている。完成年度まで至っていないが、当分の間は収支状況の良化は望めないものの、不断の経営努力と学校の実績をあげることによって、安定化を図っている様子がうかがえた。 (4) いずれにせよ、会社が学校を経営することにはそれほど支障があるとも思われず、また経営効率の向上と実績の確保という二つの命題がともに追求される実態が確認できた。次いで、経営者の理念と校長の努力も無視できない要素であることが判明した。
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