2006 Fiscal Year Annual Research Report
イギリスにおける学校選択制度を媒介とした学校変革・教育改善に関する実証的研究
Project/Area Number |
18530645
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The National Center for University Entrance Examinations |
Principal Investigator |
山村 滋 独立行政法人大学入試センター, 研究開発部, 助教授 (30212294)
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Keywords | 学校選択 / 教育政策 / 中等教育 / 英国 / 市場原理 |
Research Abstract |
近年、先進諸国では、学校選択制度が大きな政策的関心事のひとつとなっている。イギリスでも、1990年より学校選択の自由化が全国的に進められてきた。イギリスで学校選択制度を導入した理由のひとつは、学校間の競争を促進させて学校の変革・活性化を図り、教育の質・水準を向上させることにあった。また、我が国では、品川区での学校選択制の導入以降、学校選択制を導入する自治体は確実に増加している。こうした自治体の中にも、たとえば、品川区、荒川区などは、学校選択制度によって、学校の変革を通じて教育の改善・水準の向上を目指すことがその主目的のひとつであるとされている。それでは果たして、学校選択制度は学校の変革および教育の改善・水準の向上に効果的なのであろうか。 本研究は、イギリスの中等学校選択制度の、学校の変革および教育改善・教育水準向上への有効性を、実証的に明らかにすることを目的とする。 本年度は、競争的環境とその教育水準への効果を分析した。その際、教育水準の指標として、イギリスの教育技能省が公表しているGCSEに関する成績および「付加価値スコア(Value Added Score: VAS)」を入手し、すでに作成してあるイギリス中等学校に関する基礎データとリンクさせ、データベース化する作業をまず行った。 次に、これまで入手しえた「競争的環境」データとVASの関係を分析した。その結果、VASデータによっても、今回の分析枠組みの下では、その「効果」は見られない、すなわち、市場原理が教育水準を上昇させるために効果的であるかどうかは疑わしいことが明らかになった。
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