2006 Fiscal Year Annual Research Report
複素および共形幾何における種々の構造とそれらの不定値類似に関する研究
Project/Area Number |
18540063
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
鎌田 博行 宮城教育大学, 教育学部, 助教授 (00249799)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相原 義弘 沼津工業高等専門学校, 教養科, 教授 (60175718)
納谷 信 名古屋大学, 大学院多元数理科学研究科, 教授 (70222180)
中川 泰宏 金沢大学, 大学院自然科学研究科(基礎系「理」), 助教授 (90250662)
井関 裕靖 東北大学, 大学院理学研究科, 助教授 (90244409)
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Keywords | 複素幾何学 / 超複素多様体 / 超CR多様体 / HKT(捩付ケーラー)多様体 / 超強擬凸性 / ツイスターCR構造 / 不定値レヴィ形式 |
Research Abstract |
複素幾何学および共形幾何学における計量に関わる様々な幾何構造について、それらの存在、構成法、一意性、モジュライなどの問題が考えられるが、本研究では、これらについて、計量の正定値性と不定値性に関する差異や類似点を明らかにすることを一つの目的としている。初年度の平成18年度は、複素幾何学、複素解析学、共形幾何学およびそれらに関連する最近あるいは過去の結果とそれらに対する情報を収集・整理を行った。特に、超複素多様体の実超曲面に対して自然に定まる幾何構造の抽象化として定義される超CR構造をもつ多様体については、数理物理学において近年活発に研究されているHKT多様体(「振付ケーラー多様体」)と関連することが次第に明らかになり、HKT多様体の幾何学に関する基本的事項の整理・情報収集等を行う必要が生じてきた。平成18年度はHKT多様体に関する幾つかの基本文献を入手し、現在その理解を進めている。一方、超CR多様体については、超強擬凸性の下で、田中・ウェブスター接続に類似する一つの標準的な接続が定まることが知られているが、HKT多様体と超CR多様体の関連を調べる過程で、超CR構造の強擬凸性と超強擬凸性の差異が観察され、超CR構造に対して多様な凸性の概念が定義されることが明らかになった。また、超ケーラー多様体のツイスター空間と同様に、超CR多様体についてもそのツイスター空間が定義され、自然な概CR構造をもつことが分かる。超強擬凸性の仮定のもとで、標準的な接続を用いて、ツイスター空間上の概CR構造の積分可能性を論じる問題が考えられていたが、最終的には、凸性の仮定なしに、ツイスター空間上の概CR構造が積分可能であることを証明した。ここで、ツイスター空間上のCR構造(ツイスターCR構造)に適合するレヴィ形式は不定値(退化する場合もあり得る)であり、決して正定値にはらならないことに注意する。
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