2008 Fiscal Year Annual Research Report
逆問題の解の直接的再構成法の数値解析と高精度化に関する研究
Project/Area Number |
18540150
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
大江 貴司 Okayama University of Science, 理学部, 准教授 (90258210)
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Keywords | 逆問題 / 数値解析 / 数値解法 / 応用数学 / 数理工学 / 画像処理 / 医用工学 |
Research Abstract |
逆問題の解の直接的構成法とその数値的構成および画像処理に対する応用について,次に示す研究を行った. 1. Laplace方程式のCauchy問題に対する代用電荷法の適用における正則化法の研究 2. Helmholtz方程式における逆散乱問題に対する囲い込み法を用いた数値解法の開発 3. 波動方程式における点ソースの数値的推定法に関する研究 まず1について,二重連結領域の片方の境界の一部でのみCauchy条件が与えられたLaplace方程式に対し代用電荷法を適用した場合の正則化法について研究した.特にTikhonovの正則化法および特異値分解法の効果について理論解析を行ない,データの含むノイズに対する正則パラメータおよび特異値の打ち切り項数の関係と数値解の誤差評価を与え,これらの最適値についての指針について検討を行った.研究成果については,山形大学で行なわれたシンポジウムにおいて発表した.また,論文については投稿準備中である. 次に2について,囲い込み法を用いた逆問題の新しい課題としてHelmholtz方程式を取り上げ,その数値的実現の可能性と有効性について検討した.その結果,Laplace方程式と同様に数値的には実装可能であり,またいくつかの数値実験により有効性についても評価できる可能性があることが見出された.しかしHelmholtz方程式はLaplace方程式に比べ,波数パラメータ等と得られる数値解の性質に影響を与えるものがあり,これら関係について検討課題が数多く残った. また3について,波動方程式のソース逆問題について,ソース項が位置は固定されているが,強度が時間的に変化する複数の点ソースで表される場合に対し,重みつき積分に基づく数値解法を提案し,数値実験によりその有効性を示した.この成果についての論文は,投稿準備中である.
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