2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540172
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
畑 政義 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 准教授 (40156336)
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Keywords | PISOT数 / SALEM数 / 超越数 / 有理近似 / 小数部分 / PADE近似 / HERMITE積分 / 幾何数列 |
Research Abstract |
前年度に引き続いて、超越数eを公比とする等比数列の小数部分、正確には整数からの距離に関する下からの評価について研究を続行した.この種の有理近似の問題では、無理数度の研究と同様に、あるパラメータを含む積分の評価に帰着する.本研究の成果は、有理係数の一次式における有理数の各分母の最小公倍数の詳細な研究・解析と、最高値を導くパラメータの導出の二点にある.まず、前者においては、最小公倍数の素因数の大きさに応じて場合分けを行い、それぞれの場合に含まれるpベキの個数を精密に評価することに成功した.もう一つのパラメータ値の選択においては、PADE近似式における係数部と剰余部の漸近式に同じ形の函数が現れる点は、無理数度の研究と同様なのであるが、この問題ではさらに素因数の個数から素数定理を用いて得られる約分部にも同じ函数形が登場する点で、新しい現象のように思われる.この点を追求する問題は大変興味深いのであるが、残念ながら完全に解明するまでには至らなかった.しかし、ほぼ最高値であろうと思われるパラメータ値を見い出すことには成功し、素因数の分布の形はきれいな対称性を有している.これは今後の課題であるとともに、他の超越数を公比に持つ等比数列に対しても研究対象としていきたい.以上の結果はJournal of Number Theoryに受理され、現在印刷中である.
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